東工大「データサイエンス・AI教育体系」を整備。理工系の教育モデルに
データ教育体系を整備
東京工業大学は学士、大学院修士、同博士の全課程にわたる理工系データサイエンス(DS)・人工知能(AI)の教育体系を整備する。修士段階でDSやAIのソフト活用などを習得できるようになったことで、モノづくり・サービスに関する課題を、システム設計・デザインのレベルで解決するための先端科目を開設する。専門分野を超えた創薬や材料開発などの共創につなげる、理工系のDS・AI教育モデルとして注目されそうだ。
東工大は2019年度にDS・AIの大学院全学教育を日本で初めて、修士向けに始めた。DS・AIを課題解決の共通手段とし、他分野と連携できる人材を育成することが狙いだ。
そこで同教育では企業事例を活用し、講義と演習を繰り返す。21年度は修士学生の3割程度が受講する見込みだ。
その上で、新たに21―22年度で整備する「共創志向DS・AIエキスパート」では、高度な課題解決のために共創まで踏み込める人材の育成を掲げる。目玉となる先端科目ではDS・AIの理論や動作原理を理解することで、システム設計・デザインまで対応できるようにする。これにより高付加価値のモノづくりなどが期待できる。修士・博士向け科目で22年度に開講する。
一方、学士課程1年生では理工系教養科目の「情報リテラシー」「コンピューターサイエンス」を、21年度にDS・AIの切り口で整理し直した。2年生では工、物質理工、生命理工学院など各専門におけるDS・AIを学ぶ。科目が増えるため、専門別の標準履修コースも提示する。
政府はDS・AIのエキスパートを年間2000人育成することを打ち出している。東工大は修士への進学率が約9割で、学部・大学院を統合した教育組織「学院」の一貫教育が強みだ。今回、理工系DS・AI教育の整備による“東工大モデル”の確立により、DS・AIのエキスパート輩出につなげたいとしている。
