学習意欲を引き出す情報は成績を高める。神経メカニズムを解明

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大阪市立大学大学院医学研究科の松尾貴司大学院生、石井聡講師、吉川貴仁教授らは、意欲を引き出すような情報を与えることで課題の成績が向上する神経メカニズムを解明した。これまで成績向上には達成感などにより引き出される学習意欲が重要だと指摘されていたが、その仕組みは不明だった。よりよい教育法の開発につながることが期待される。

実験では成人男性20人が参加。課題の途中で、前向きな情報を与えた場合の反応に注目し、脳磁図法という手法で脳の活動を測定した。具体的には実際の成績と関係なく「平均を上回り、ほぼ最高レベルの成績」であることを示す画像を提示。一方で課題と無関係な画像を示すことで、脳活動と課題の成績を比較した。

その結果、成績が良好な画像を提示した場合は課題の成績(正答率)が保たれた。これに対し、課題と無関係な画像を示した場合は正答率が次第に下がった。また、脳磁図法によって、情報の処理と課題成績の相関に関わる脳部位の存在を明らかにした。注意機能や作業記憶にかかわる部位で、達成感を引き出す情報を与えることで成績が向上したと考えられる。

今後は成績が良好でないことを提示することで成績が向上する可能性なども含め、新たな教育手法の開発につなげる。

日刊工業新聞2021年7月29日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

過去の研究で、達成感が成績向上につながることは、明らかだったという。けれども飽きっぽいタイプだと達成する前に『止ーめた』となってしまう。近年は生徒や学生が多様になっているため、なおさらだ。今回の研究では「途中での刺激も効果的」と判明したため、飽きっぽいタイプにも生かせられるだろう。加えて「例え悪かったとしても、『すごくいいよ!』とほめることが、その後の実際の成績にプラス」だというのだから、これは”使いで”がありそうだ。さて、ほめる相手は子供や部下に加え、配偶者や上司も対象に…?

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