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社会の困難、発明で乗り越えるー中小・中堅企業の発明応募、受付中

応募締め切りは9月30日、表彰式は来年3月中旬

中堅・中小企業を対象とした発明の表彰制度の中では、最も長い歴史を持ち、関係諸官庁からも支援されるとともに、広く一般からも高い評価をうけている「発明大賞」。今年で第47回を迎える同表彰は、全国の中堅・中小企業の発明を発掘し、その功績を広く認知すべく実施されている。学識経験者による厳格な審査を経て受賞した企業は、関係諸官庁からの信頼が厚い。かつて受賞した企業は経済産業省主催「ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」や文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞するなど、発明大賞をはずみに飛躍した企業も多い。

応募対象は中堅・中小企業(資本金10億円以下の企業)、及び個人またはグループで、案件は特許・実用新案を登録済み、または公開された発明考案。「発明大賞本賞」「発明大賞東京都知事賞」「発明大賞日本発明振興協会会長賞」「発明大賞日刊工業新聞社賞」にそれぞれ1社のほか、「発明功労賞」「考案功労賞」「発明奨励賞」「発明育成賞」として複数社を表彰する。応募締め切りは9月30日(当日消印有効)。表彰式は来年3月中旬に東京都内で予定している。

応募などの問い合わせは(公財)日本発明振興協会(03・3464・6991)へ
 発明大賞公式ページ

前回(第46回)の主な受賞企業と製品・技術のポイントは下記。

【本賞】粘土質濁水精密濾過装置=流機エンジニアリング (代表取締役会長・西村 章氏)

トンネル排水やセメント排水などの高濁水を安価で精密濾過できる装置。濾過膜の目詰まりを防止するために親水性のテフロン膜を濾過膜にコーティングし、濾過時の流量を確保した。

濾過膜に付着した堆積物は、従来は濾過面の反対側から洗浄水を流して洗浄する方法や濾過面を高圧の水流で洗い流す方法が使われている。

開発した装置では濾過膜の洗浄する際、フィルター内部から空気を吹き出すとともに、濾過面を樹脂ビーズが混ざった洗浄液で洗うことで、洗浄効率を向上させた。(流機エンジニアリング=東京都港区、03・3452・7400)

【東京都知事賞】電動バランサシステム=ロボテック(技術本部制御ソフト課課長・主任技師・山本雄氏ほか1人)

組立工場などで部品や原材料を移送する負担を軽減する電動バランサー。モーターの回転軸周りの運動を制御し平衡状態を保つことで、荷物の上下操作などを容易にした。フィードバック制御により平衡状態を保てる。荷物の移送だけでなく他の作業でも操作性が向上する。

移送工程の内容に合わせて四つの操作モードを装備した。これにより停電時などでも安全に動作する。外部機器と連携できる拡張性もある。(ロボテック=東京都中央区、03・3639・6123)

【日本発明振興協会会長賞】LED照明モジュールおよびLED照明装置=四国計測工業(社長・寺井昇二氏)

金属基板に無機白色絶縁層を形成した発光ダイオード(LED)実装基板。伝熱面積を広げる「放熱フィン」の配置を工夫しており、放熱性が高く経年劣化が少ない。従来のLED実装基板は放熱性に課題があった。

このためLED照明は設置する位置や角度を制限する場合もあったが、開発した発明品は取り付け自由度が高く、適用範囲が広い。体育館や工場などの高天井や野外照明で使える。LED実装基板が耐放射線性であるため、放射線管理区域でも使用できる。(四国計測工業=香川県多度津町、050・8802・3090)

【日刊工業新聞社賞】絶縁抵抗監視の制御方法および監視装置=竹中電機(開発部次長・鈴木敦氏)

電気回路の絶縁が保たれているかを調べる「絶縁抵抗計」と同等の精度で、電動機などの絶縁抵抗を自動で計測できる装置。絶縁不良から劣化の兆候を調べられる。装置停止や火災事故などの未然防止に役立つ。

一度設置すれば取り外し作業が不要。自動で絶縁抵抗測定ができるため、保全工数の削減も可能。絶縁抵抗の測定は、従来は絶縁抵抗計を使って人手で行われており、自動化が望まれていた。ただ、他方式で自動化すると人が測定するより精度に課題があった。(竹中電機=愛知県碧南市、0566・48・3221)

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