ニュースイッチ

立命館大の学内研究組織「R-GIRO」が注目されるべき理由

立命館大学は学内研究組織「立命館グローバル・イノベーション研究機構」(R―GIRO=アールジャイロ)が2021年度から取り組むプログラム6件を決めた。持続可能な日本モデルの世界発信に向け、環境対応や高齢者の健康増進などに複数学部の分野融合で取り組む。若手・女性の人材育成や外部資金獲得計画も重視されており、14年目に入る同機構の果実が期待される。

案件の一つは、環境対応技術でレアメタル採掘など別の課題を引き起こす問題に注目。材料設計やリサイクル技術、循環システムの社会科学的評価で解決に臨む。早稲田大学、東北大学の著名研究者を客員に迎え、科学研究費助成事業での細目追加を視野に入れる意欲的なものだ。

健康医療では生体モニタリングと運動・栄養指導、臓器チップによる薬や食品の機能性探索の研究を、リアルとサイバーで進める。人文・社会科学系を中心とする高齢者の認知的コミュニケーション支援は、思い出を引き出すデジタルデータ活用、仮想現実(VR)による認知機能活性化などが特徴だ。

このプログラムは年間予算3億円で、多くを博士研究員(ポスドク)らの雇用にあて、研究費は外部資金で獲得する。常時約10拠点、約300人が参加する体制で、学内支援の1・5倍の外部資金獲得を実現しているという。今回の採択はR―GIROの第4期前半分で、地球共生型社会をテーマに5年間で取り組む。

日刊工業新聞2020年12月3日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
立命館大のR-GIROの活動は以前から取材しているが、恥ずかしながら「3億円の9割をポスドク雇用に回している」ことはよく頭に入っていなかった。もっと普通の、研究費使用だと思っていた。研究大学としては2番手に位置する他大学からすれば、うらやましいのではないか。さらにその1・5倍の外部資金を獲得できているとは。科研費獲得も私大では早慶に次ぐレベルと聞いており、研究力アップの一つのモデルとして、もっと注目されてよいのではないか。

編集部のおすすめ