次世代の研究者に上限500万円、京大が寄付金活用で新制度
京都大学は30―40歳代の若手・中堅研究者向けに、学術研究を支援する自由度の高い新制度を始めた。過去の研究実績でなく中期社会ビジョンに基づく審査で、採択初年度に上限500万円を渡しきり、他の外部資金では難しい研究支援者の人件費などに活用する。2022年の創立125周年の寄付金を活用し、同大学術研究支援室(KURA)のリサーチアドミニストレーター(URA)らが調査し設計した点も注目されそうだ。
京大学内の研究支援ファンドは複数あるが、この次世代の研究者向けの「くすのき・125」は、寄付金を活用した初めてのものだ。応募者はまず、今後125年で創ろうとする“調和した地球社会のビジョン”と、その中で自身が確立する学術領域を提示する。
熱意と可能性を、総長・理事らが最終評価して採択する。支援金は研究に集中する多様な手だてに使える点が、研究提案型で使途が制限される通常の資金と異なる。自由な発想で予想外の研究が生まれる学術研究で、同大の研究力を中長期で高めることを狙う。
初回の支援は21年3月で、3カ年にわたり約15人ずつ採択する。すでに応募は230人超と、学術研究の支援ニーズを裏付ける。短期の研究成果は求めないが寄付者を意識し、研究のビジョンや思いをURAらの手で社会発信していく。
日刊工業新聞2020年11月12日