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決定した東大次期総長、現総長と同じ点・違う点

決定した東大次期総長、現総長と同じ点・違う点

次期学長予定者として藤井輝夫理事・副学長を決めた東京大学

東京大学は、五神真総長(63)の3月の任期満了に伴い、次期学長予定者として藤井輝夫理事・副学長(56)を決めた。任期は4月1日から6年間。現在の担当は財務、社会連携・産学官協創。五神総長が掲げる高度人材による知的集約型社会に向けて、企業と大学が深くつながって実現するイノベーション創出をリードしてきた。ダイキン工業ソフトバンクからの10年で100億円、200億円といった巨額の支援や、国立大学初の大学債発行など、トップクラスの研究大学が協創の果実を得る仕組みの整備を指揮した。専門は応用マイクロ流体システム。

藤井輝夫氏

【略歴】藤井輝夫氏(ふじい・てるお)93年(平5)東大院工学系研究科博士課程修了。同年東大生産技術研究所客員助教授。07年同研究所付属マイクロメカトロニクス国際研究センター教授。15年同研究所長。18年副学長。19年理事・副学長。

日刊工業新聞電子版2020年10月2日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
藤井次期総長は、五神現総長が重視する”学外組織との共創による外部収入増、経営体質強化”の要の担当理事を務めている。この方向性は変わらず、両者の姿勢は同じといえる。会見で私が注目したのは、藤井次期総長が「これまでも(学内外との)対話を大事にしてやってきた。(その結果としての)意向投票の結果(過半数を獲得した)は心強い」と発言したことだ。また「メディアとのやりとりもこれまで以上に増えるだろう」とも述べた。なぜ私がここに注目したか。それは五神総長は、自ら信ずるところを貫くあまり強引な面がしばしばみられ、他の国立大学を突き放して(歴代の東大総長が会長を務めた国大協に対し、距離を置いていた)東大にしかできない経営強化に邁進し、自分の思いと異なる書きぶりをするメディアを嫌っていたからだ。それは改革派の政府関係者が好む強いリーダーシップでもあった。その上での藤井次期総長の登場だ。次の機会には、会見時よりもっと明確に、藤井次期総長自身の言葉でその思いを聞いてみたい。

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