東京医科歯科大が近隣病院と提携、指定国立大へWin-Winの仕組み
東京医科歯科大学は寄付講座を活用し、近隣病院との提携で同大の分院を設置する。同大付属病院でカバーできていない分野の専門家を寄付講座の教授に迎え、寄付者である医療法人の病院に配置する。地域医療と病院経営を発展させ、大学の研究費・人件費に収益を回す循環を狙う。医科系国立大学トップの東京医科歯科大学は、2022年度以降の指定国立大学を目指し、財務基盤強化の新方策を提示する。
東京医科歯科大は東京都文京区の本拠地に、外来患者が1日約2000人の医学部付属病院と、約1700人の歯学部付属病院を持つ。これを生かして現在、近隣の中規模病院と提携する交渉を進めている。
例えばある診療科は、同大の病床の多くががん患者向けだが、既存病院では別の疾患ニーズが高い。寄付講座設置により分院となる既存病院では、大学病院レベルの人材が質の高い診療をし、同大がカバーしきれない患者を受け入れ、医・歯を合わせた同大トータルヘルスケアを患者に提供できる。
同大にとって外部資金で、診療から大学の研究・教育にキャリアチェンジしたい優秀な人材などを雇用できることになる。
同大は22年度からの国立大学第4期中期目標期間に、指定国立大学となる計画を持っており、その最初の一手と位置付けられそうだ。
医科系私立大学は本院の他に、分院を各地に持って収益性を高めるケースが多い。国立大では筑波大学が、2009年に茨城県厚生連総合病院水戸協同病院と連携した例がある。同病院は筑波大のサテライトキャンパスとなり、同大教員が常勤医師として派遣されている。
日刊工業新聞2020年4月9日