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立体交差やジャンプも、米アンキがスマホ操作の新しいAIカーレースゲーム

モジュラー式で自由なコース設計可能に
立体交差やジャンプも、米アンキがスマホ操作の新しいAIカーレースゲーム

Anki Overdriveのスターターキット

 ロボット技術と人工知能(AI)を応用したカーレースゲームの米ベンチャー、アンキ(Anki)から、新製品の「アンキ・オーバードライブ」が9月20日に発売された。従来の「アンキ・ドライブ」でのレースコースは平面のマットだったが、新製品では直線やカーブのコース部品を組み立ててるモジュラー式。立体交差やジャンプを含め、好みのデザインのコースを楽しめるというのが最大の特長だ。

 スターターキットでは、レースカー2台と、同時に4台まで充電できるドック、プラスチック製のコースの部品10枚(直線用4枚、カーブ用6枚)が入って150ドル。コースのピース同士は端面に内蔵された磁石で簡単に接続でき、全部で8種類のコースが作れる。追加のピースは2枚パックで20ドル。ジャンプ用のキットは30ドルで、追加のレースカーが1台49ドル。販売地域は米国、カナダ、英国、ドイツ。

 iOSまたはアンドロイドOSのスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードして、一度に4台までレースを楽しめる。レースカーは1秒間に500のデータポイントを読み取ってコース上の現在位置を把握し、コースのレーンに沿って勝手にトラックをぐるぐる回る仕掛け。そのため、プレーヤーがスマホ画面で操作するのは、自分のレースカーの加速やブレーキ、左右のステアリング、さらに「バーチャルウェポン(仮想兵器)」を使ってほかの車を攻撃する動作だけ。攻撃がうまくいくと、攻撃された車はスピンして止まったりする。

 6種類あるレースカーは、「スカル」「グラウンドショック」「サーモ」「ニューク」「ガーディアン」「ビッグバン」と名前が付けられ、「マイノリティ・リポート」「トロン:レガシー」「トータル・リコール(2012年版)」といったハリウッド映画のカーデザイナー、ハラルド・ベルカー氏がデザインした。それぞれ見た目だけでなく、スピードやバーチャルウェポン、ディフェンス性能などに違いがある。

 アンキは米カーネギーメロン大学の博士課程でロボット研究をしていたメンバーが2010年にサンフランシスコに設立。シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツなどから、シリーズA/シリーズB合わせて5000万ドルの資金を調達している。

 最初の製品となる「アンキ・ドライブ」は当初iOSだけに対応。そのため、iOSを応用した「現実世界のテレビゲーム」として、アップルが2013年6月に開いたWWDC(世界開発者会議)で紹介され、その壇上でゲームのデモを行うなど、華々しいデビューを飾ったことでも注目された。ちなみに社名のアンキは日本語の「暗記」に由来し、その意味を「心で学ぶこと」と説明している。

アップルWWDC2013での「Anki Drive」のデモ(9:40ころから)
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
スマホゲーム全盛の中で、あえて現物のレースカーのゲームを作り、それがスマホ+ハイテク制御で多人数で楽しめるというのが魅力。サポートの手間がかかるためか販売地域を絞っているが、日本でもきっと売れると思う。

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