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アップルの自動運転車、近く公道に登場か?幹部がカリフォルニア州運輸当局と会合

プロジェクトのエンジニアリング責任者も任命、とガーディアン紙
アップルの自動運転車、近く公道に登場か?幹部がカリフォルニア州運輸当局と会合

CarPlayを装備したダッシュボード(アップルのウェブサイトから)

 アップル幹部が8月17日にカリフォルニア州運輸当局(DMV)と会合を持ち、自動運転車の計画について話しあったと、英ガーディアンが入手した文書をもとに報じた。これは、アップルが「タイタン」という極秘プロジェクトで開発中の自動運転車が、ほぼ公道で走行できるレベルにあることを示唆するもので、車両が近いうちに公の場に姿をあらわすのではないかと同紙ではみている。

 DMV側はこの会合で何を話しあったのかについては明らかにせず、「アップルとの会合は、DMVの自動運転車についての規則を再検討するためのもの」としかコメントしていない。ガーディアンはさらに、アップルがタイタンプロジェクトでエンジニアリング・プログラミング・マネージャー(EPM)も任命していることから、開発中の自動運転車がラボ(実験室)を離れる準備が整ったとしている。

 DMVで自動運転車を担当する責任者らと会合を持ったのは、アップルの上級法務顧問であるマイク・マレティック氏。8月にはアップルがサンフランシスコ近郊にある元海軍基地で、現在は自動運転車やコネクテッドカーの走行試験用などに貸し出されている「ゴーメンタムステーション」の施設利用の予約を検討していることがガーディアンの報道で明らかになっている。
http://newswitch.jp/p/1721

 マレティック氏はこの際、ゴーメンタムステーションとの秘密保持契約に署名した張本人。ただ、これまでに同施設を使ってアップルが試験走行を行った形跡はないとみられている。

 カリフォルニア州のDMVは州内の公道での自動運転車の運行について、メーカー側に課す試験や安全基準についての規則を現在作成中。2015年初めには草案を作るはずだったが、作業が遅れているという。この規制作りのプロセスには、アウディ、GM、日産、コンチネンタル、グーグルなど多数の自動車会社やIT企業がかかわっているとされる。

 DMVはこれまでに開発段階にある10社の自動運転車約80台について州内の公道での走行を承認しており、先週にはホンダとBMWが承認を受けた。仮にアップルがDMVから自動運転車の走行承認を得たいのであれば、対象となる車種やモデル、車両識別番号(VIN)、自動運転機能の特徴や性能の詳細、それに同乗するテストドライバーの名前を含めて申請しなければならないため、アップル特有の秘密主義が崩れる恐れがある。

 アップル情報サイトのアップルインサイダーによれば、アップルは「シックスティエイトリサーチ(SixtyEight Research)」というダミー会社を使って、シリコンバレーのサニーベールにある「SG5」という施設で極秘の自動運転車プロジェクトに取り組んでいるという。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
ベールに包まれていたアップルの自動運転車プロジェクトが、ここに来て少しずつ表に出てくるようになったのは、自動運転車をめぐってライバル関係にあるグーグルとウーバーの積極的な動きが刺激になっているようだ。アップル車の公道デビューはいつになるのか。今から待ち遠しい。

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