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青山学院大、院生40人を「助手」雇用の狙い

文系の研究者育成
青山学院大、院生40人を「助手」雇用の狙い

青山学院大の青山キャンパス(同大提供)

 青山学院大学は2020年度から博士後期課程学生の約40人を“院生助手”として雇用する新制度を始める。学部生の授業補佐に対して月給16万円で、履歴書に教育歴として記せるため就職時の後押しになる。同大は英米文学や史学など文系の研究職の志望者が多く、学生の研究費支援でも採択は文系が理系の2倍だ。学生を雇用する制度は研究大学の一部の理系であるが、同大は文系の若手研究者育成を意識して全学で実施する。

 新制度の対象は11学部の入学定員に合わせた分野別の枠で、計42人分を用意した。博士研究を優先しつつ、学部生の講義や実習、国際会議の運営など、修士学生によるティーチングアシスタント(TA)より高度な補佐業務を行う。指導教員の雑務対応にならないよう学部長が監督する。他大学の非常勤講師も可能で、合わせて研究職キャリア構築の後押しになる。

 大学は給与のほか社会保険料、超勤手当、通勤費手当(学割使用後の分)などに対応する。教員増となり、きめ細かな教育の指標となるST比(学生・教員比率)がよくなるメリットもある。

 今春からの博士後期課程1年生には、給付型奨学金の形で授業料免除を始めており、この対象外となっている学生を新制度で支援する。また19年度には大学院生(博士前期課程を含む)の国際学会発表の渡航費支援を開始。最大15万円、最大60人で進めている。

 一方、若手研究者向けの「アーリーイーグル研究支援制度」を17年度に開始しており、競争率約3倍と人気が高い。18年度予算は計1000万円で22件を採択。「助手・助教1人に年70万円」の支援は理系が多いが、「博士後期課程学生に25万円」のケースは、文系が理系の倍で採択されている。

                 

日刊工業新聞2019年10月3日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
私立総合大学の博士課程学生で、文系がこんなに強いとは予想外だった。博士学生の絶対数が多い研究大学では、理系が主流だ。理系があるなら、どの大学でも同じ傾向だと思い込んでいたことを反省した。青山学院大でも理工系の博士課程修了生の就職はさほど心配がない。同大ならではの文系の博士課程修了生に対して、研究職としてのキャリア支援をしたい、という姿勢に引きつけられた。

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