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“出る杭を育てる”、文科省が大学教育・経営の改革で新事業

2020年度概算要求
 文部科学省は2020年度に教育改革と、大学組織のマネジメント改革を組み合わせた新事業を始める。時代の変化に対応する融合教育や、非凡な才能を伸ばす早期卒業などの教育プログラムに補助金を用意する。同時に産業界や地域と連携し、継続的な全学教育改革の基盤をつくる大学に資金支援する。国公私立大学の計33件を5年間、後押しする。20年度予算概算要求で18億円を計上する。

 大学の教育改革は専門性に加えて幅広さを強化するなど、社会ニーズに合わせた継続的な対応が必要だ。しかし学部・学科の壁が高いほか、情報教育やキャリア教育などバラバラなのが現状だ。文科省は従来、教育プログラムの個別提案に補助金を出してきた。

 今回は社会と連携し、変えていくべき道筋を立てるシステムづくりなど、大学マネジメントの取り組みも見る。補助金は最終年度は当初予算の3分の1と漸減させ、活動の自立を促す。

 学士課程を中心としたテーマ例・支援イメージは3種類ある。専門の枠を広げる6年一貫教育、複数専攻制、環境や医工連携など分野融合は、1件年5400万円で21件。科学、技術、工学、数学、芸術のSTEAM(スチーム)教育から、人工知能(AI)の掛け合わせに進むタイプは5300万円で9件。飛び入学と早期卒業など“出る杭を育てる”取り組みが3800万円で3件だ。文科省の制度改正で可能になった、学部連携の学位プログラムなどを想定している。
                        
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
先に走る卓越大学院プログラムのポイントが、新事業にも導入されている点が興味深い。教育内容の幅広さ、全学の組織的改革、産業界・地域の支援、補助金の漸減などが共通だ。卓越は博士教育、新事業は学部教育が中心と別に思えるが、現代社会の人材ニーズと大学組織のマネジメント(経営)改革と絡めると、こんな風に共通してくることになる。

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