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空手の動きを音に変換、オーケストラと融合するプロジェクトの中身

“空手カルメン協奏曲”の実証プロジェクト開始
空手の動きを音に変換、オーケストラと融合するプロジェクトの中身

ファン層を広げる企画を産学連携で行う (2018年の演奏会より/クラシカ・エール実行委員会提供)

 早稲田大学大学院経営管理研究科の川上智子教授らは、空手の演武とオーケストラを掛け合わせ、クラシック音楽の愛好者を開拓する実証プロジェクトを始めた。ソニーの技術によるセンサーを約50人の老若男女に付け、空手の体の動きを音に変換し「カルメン組曲」の演奏と組み合わせる。日本の伝統武道に関心を寄せる訪日観光客向けに、3月2日の開催を7カ国語のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)で発信中だ。

 主催のクラシカ・エール実行委員会は川上教授と、音楽大学の学生らによる「エール管弦楽団」指揮者の鰺坂圭司氏が共同代表だ。今回は空手をソロに据えた“空手カルメン協奏曲”で挑む。

 空手家の高橋優子氏が率いる「空優会」などのメンバーが、基本の型や速度を変えた技、組み手の要素を盛り込んだ演武を行い、センサーで音に変換して目と耳で味わう新趣向だ。武道は訪日観光客の関心が高い。空手は2020年東京五輪・パラリンピックの初種目で、高橋氏の外国人向け体験会も盛況だ。

 開催は東京都新宿区の東京オペラシティ コンサートホールで、チケットはC席2600円など。実行委員会は前回のコンサートでプロジェクションマッピングを活用し、動員数をそれまでの2倍にしている。
日刊工業新聞2019年2月7日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
クラシックのオーケストラのコンサート収支は、かなりの程度を助成金に依っていると聞く。「稼いで自立するビジネスモデルを」というのが、クラシカ・エール実行委員会の狙いで、早大の経営学の大学院生らの活動でもある。2018年の最初の企画、プロジェクションマッピング×オーケストラは、行きそびれて今なお、激しく悔やんでいる。今回の空手演武×オーケストラは絶対に見逃さないぞ!

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