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学生や若手研究者を海外派遣、同世代起業家と人脈形成を促す

文科省、来年度から
 文部科学省は、学生や若手研究者を国際的に活躍する起業人に育成するため、海外派遣事業を2018年度に始める。技術の事業化構想を持つ若手チームが、欧米の投資家やベンチャー育成機関の集積地で、提携先を開拓したり同世代起業家との人脈を形成したりする。経営共創基盤(東京都千代田区、冨山和彦最高経営責任者、03・4562・1111)などが派遣費用を支援する。産学連携による本格的な起業家教育として注目される。

 これは文科省が17年度に始めた支援事業「次世代アントレプレナー育成事業」(EDGE―NEXT)の一環。同事業は東京大学、早稲田大学などが主幹機関となる5コンソーシアムで動いている。

 18年度開始の「アントレプレナー育成海外武者修行」では、このうち2コンソーシアムから各10人を選抜。事業化案件を携えた3人程度のチームをそれぞれ編成し、米国西海岸などに2―3カ月間、派遣する。

 チームは事業の実用化に不足する最先端技術の習得のほか、国際会合での売り込み、提携先の開拓などを行い、グローバル市場における新事業の開発力を身に付ける。

 帰国後は実際の起業とともに、日本の起業支援システム構築のリーダーとなることが期待される。このプログラム構築に18年度政府予算案から新規で3000万円を活用する予定だ。

 一方、渡航・滞在費などのスポンサー企業・団体として、孫正義育英財団に次いで経営共創基盤も決まった。民間の支援は派遣前研修や、現地での起業支援組織、ベンチャー関連の助言者などとのネットワーク構築でも見込まれている。

   
日刊工業新聞2018年1月25日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
民間の賛同と資金を、大学教育に対して集めることは近年、注目され始めたばかり。共同研究では出し手の企業にとってメリットがわかりやすいが、人材育成はそうでもないところが難しい。 それだけに孫正義育英財団や、経営共創基盤といったところが支援を決めたというのは、関心を呼びそうだ。

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