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1人乗り「ホバーバイク」実用化へ、米陸軍研究所が英ベンチャーと

偵察や補給品運搬などでの活用想定
1人乗り「ホバーバイク」実用化へ、米陸軍研究所が英ベンチャーと

初期に設計したプロペラが2つのホバーバイク(マロイのサイトから)

 「スターウォーズ ジェダイの帰還」に登場し、主人公のルークたちが森の中をまるで滑るように高速で飛行する「スピーダーバイク」。そんな未来的な乗り物を軍事向けに実用化しようと、米国防総省が乗り出した。英マロイ・エアロノーティクスと米防衛関連エンジニアリング企業のサービス・エンジニアリングが開発中の「ホバーバイク」について、米陸軍研究所が両社と研究開発契約を交わした。

 マロイは2012年設立の航空関連ベンチャー。ドローンやホバーバイクの技術を民間および軍事分野に提供している。一方のサービス・エンジニアリングは約400人の従業員を抱え、国防総省向けR&Dで30年以上の経験がある。

 今回の契約の詳細は明らかにされていないが、1人乗りで4つのプロペラを使う「クアッドコプター」として空中を移動できるホバーバイクの実用化に向け、研究開発を進める。そのためマロイは米メリーランド州の陸軍研究所近くに米国オフィスも設けた。

 同研究所がホバーバイクに着目したのは、ヘリコプターに比べて部品数が少なく信頼性が高い上、メンテナンスしやすく、コストも安いため。戦場での偵察活動や補給品の運搬、スパイ要員の撤収など多用途に使う狙いがある。

 ホバーバイクについてはこのほかにも、米カリフォルニア州のエアロフェックスが「Aero-X」を開発中。8万5000ドルの予定価格で2017年の発売を計画している。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
軍事技術にはできれば関わりたくないところだが、飛行機もコンピューターも原子力もインターネットもGPSも、最近はやりのドローンまでも、そもそもは軍事的なニーズを満たすために開発が進められた。良くも悪くもデュアルユース(民生用・軍事用の二重用途)を目指すからこそ、実用化が加速され、イノベーションが起きやすくなるような気がする。

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