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横浜国大、産学連携で年1件の大型企画を立ち上げ

初回は「ソサエティー5・0」実現がテーマ
 横浜国立大学は組織同士で対応する大型産学連携事業で、全学シンポジウムを提案の場として使い、年1件の新企画を立ち上げる仕組みを始める。28日に初開催する。企業1社と未来社会について議論してきた既存活動を広げ、強みの経営学を含む二十数件の学内研究拠点と結びつける。初回は超スマート社会「ソサエティー5・0」実現に向け、人工知能(AI)など4拠点が研究を発表。製造業によるサービス新事業を後押しするコンソーシアム設立を提案する。

 横浜国大は現在、大手製造業数社、それぞれと長期展望に立って議論する「未来ビジョンに基づく大型連携」を手がけている。本格的・組織型・大型の産学連携に向けて政府が重視する手法であり、共同研究も動きだしている。この仕組みを複数企業に広げるため、「イノベーションシンポジウム」を毎年開催することを決めた。共同研究や外部競争的資金の獲得を行う新規コンソーシアムの設立を企業に呼びかける。

 初回は、実世界とサイバー空間をつなぐソサエティー5・0の実現がテーマ。製造業がIoT(モノのインターネット)導入により、サービス新事業を発展させるビジネスモデル構築などを手がけるコンソーシアムを呼びかける。

 シンポジウムでは、情報技術をソフトとハードで取り上げる「情報・物理セキュリティ」、進化型機械学習を教員ら13人の陣容で進める「人工知能」、要素技術もシステムもカバーする「ロボティクス・メカトロニクス」の各研究拠点が研究発表する。

 さらに「文理連携による社会価値実現プロセス」研究拠点が技術の標準化、潜在顧客の開拓、特許管理など取り組みを紹介する。
    
日刊工業新聞2017年11月2日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
大学が強み分野の研究をアピールするシンポジウムは数あれど、その場でコンソーシアムを呼びかけるという企画は、効率的で有意義なのではないか。 なにしろその特定テーマで関心を持つ企業が参集している。従来の産学連携、つまり1大学と1企業でのつながりを元に、コンソーシアムに持って行くのよりリーズナブルだろう。 その分だけ課題は、関係しそうな企業をどれだけシンポジウムで集められるか、また講演などの中身で魅力を訴えられるか、になってきそうだ。

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