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米インテル、量子コンピューター用に17量子ビットのテストチップ出荷

研究パートナーのオランダ・キューテック向け
米インテル、量子コンピューター用に17量子ビットのテストチップ出荷

17量子ビットのテストチップ(インテル提供)

 米インテルは10日、量子コンピューター用のテストチップを同分野の研究パートナーであるオランダのキューテック(QuTech)向けに出荷したと発表した。開発したのは極低温で稼働する超電導仕様の17量子ビットのプロセッサー。量子コンピューターのアルゴリズムを研究するキューテック側では、このテストチップを使い、量子ビットのエラーを修正する手法の研究などに役立てるという。

 量子コンピューターは0と1だけでなく、0と1が重ね合わせ状態もとることができる量子ビットを使い、複雑な計算を超高速で行えるものとして実用化が期待されている。ただし、量子ビットはノイズなど外乱の影響を受けてデータエラーが起きやすいため、絶対零度近い極低温で扱われることが多い。

 そこでインテルでは、新たなアーキテクチャーや極低温に適したパッケージングの工夫により、量子ビット間の電磁波干渉の影響を減らすことでチップの信頼性を向上。また、通常のワイヤボンディングのチップに比べ、相互接続を行うインターコネクトの部分が10-100倍の信号をやり取りできる上、規模の大きな量子ビットにも拡張可能な仕様とした。

 キューテックはオランダ・デルフト工科大学発のベンチャー企業で、2015年からインテルと量子コンピューター分野で協力関係にある。テストチップを使い、量子もつれ状態にある複数の量子ビットを制御したり、計測したりすることでエラー修正の研究に役立てる方針という。
日刊工業新聞電子版2017年10月11日
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
IBM、グーグル、マイクロソフト、そしてインテル…。先日も東京証券取引所で関連買いが入っていたかと思いますが、量子コンピューター周辺がだんだん慌ただしくなってきました。量子アニーリングのマシンは実用化されていますが、ゲート式への期待も高まっています。

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