千住金属工業株式会社

東村 陽子さん

リケジョ小町No.32 前編

「最高」のヤニ入りハンダ開発

 東村陽子さん(32)は現場の女性の声を聞き、ヤニ入りハンダの「Gao(ガオ)」を開発しました。作業時の刺激臭を無臭に近づけた同製品。開発当初は、レモンの香りなど匂いを付けることも検討しましたが「匂いは人の好みもある」ことに考慮し、試行錯誤を重ねながら完成しました。同製品は従来品と同様に高品質を保ちながら、はんだづけ時に発生する煙や高温での焦げ付きなどを抑制します。製品名は中国語で「最高」の意味を表しています。

目立たないものが世界を支えている

―理系に進んだきっかけはなんですか。
 父親が研究職に就いていて、その姿を小さい頃から見ていて憧れがあったことと、小学生低学年の頃から理科や算数など理系科目が好きだったので、他の道にぶれることなく進みました。理科の実験は重さの違うボールを落とすなど目で見える物理的な実験が好きでした。山形大学では物質化学工学科を専攻し、例えば、配管があることによって、水の抵抗がどれくらいかかるか、実際に出てくる水の量はどのくらいかといったようなことを学び、流体・粉体の研究室に所属し、積層セラミックコンデンサーの誘電特性について研究しました。

―入社するきっかけは。
 大学でリクルーターの方から話を聞いたことからです。ハンダ自体は世の中の人がほとんど目にする機会がなく、地味な製品ですが、ハンダがないと世の中の電化製品が動かないという説明を聞いた時に「面白いな」と興味をもち入社を決めました。目立たないものが実は世界を支えているということが魅力でした。

女性作業者へ配慮

―現在の仕事内容を教えてください。 
 ヤニ入りハンダの開発を担当しています。ぱっと見は金属に見えますが、中にフラックスという化学薬品が入っていて、その作用によってハンダがつくようになっています。このフラックスの性能によってどれくらいハンダがつきやすいか、信頼性が高いか変わってきます。
 開発をする上で気を付けていることは、人が手で作業する製品なので、使いやすく、害を与えないこと。フラックスは熱を加えると気化して臭いを発したりするのですが、ハンダを使う作業者は女性が多いので臭いに気をつけています。

―開発した中で、印象的な製品は。
 「MACROS(マクロス)」という自動車の車室内向けに開発した製品です。フラックス残渣が割れない特殊な製品で、入社した当時から5年間の開発期間をかけました。当初は自分の技術力が足りず、何回も諦めかけたこともありましたが、ラベルもデザインし、最終的に製品になったときが一番感動しました。製品の名称も付けました。由来は「アンジクラックロジンコアドソルダー」で、「クラックしない(割れない)ヤニ入りハンダ」という意味です。冒頭のMは「ミラクル」の意味です。

―どんなときにやりがいを感じますか。
 自分のつくったものが製品化されるときや、現場へ行った時にお客さまが「使いやすくなった」と言ってくれた時に一番やりがいを感じます。仕事の一環として、自分で作った製品を自分でPRするほか、問題が起こった時現場に赴いて解決することもあり、お客さまと会うことも多くあります。

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