未来を創るリケジョ教授の目

大野 弘幸さん

「リケジョ」に愛される大学

大野 弘幸(おおの・ひろゆき)教授
工学部長

東京農工大学は女性比率が極めて高いのが特徴です。工学部にいたっては約25%と全国の国立大学でトップ水準。そこまで「リケジョ」に愛される理由はどこにあるのか。入学者の受け入れや入学後の教育方針なども含め、工学部長の大野弘幸教授に伺いました。

女子は諦めないから研究で成果が出る

大野 弘幸さん

―女子学生に入学してもらうため、どのような取り組みをされていますか。
綺麗なストーリーがあったらいいんですけど、何も大きなことはしていません。これまでの地道な積み重ねが大きな流れになっていると思います。女子高校生からみると、「先輩が入っているから」、大学生になってからは、「あの会社には農工大出身者がいるから」という人の流れができています。もちろんインフラ面を充実させる努力はしてきました。事務職を含め女性スタッフを増やして、気軽に学生が話せる環境作りを心がけています。卒業生の准教授も増えてきたので、ロールモデルとしてこういうキャリアもあるんだ、と感じてもらえればと思っています。

―大野先生の研究室も女性が4割を占めるとか。かなり高いと思いますが、なぜですか?
楽しいからですかね?(笑)生命工学はことさら女性が好む研究テーマではないんですけど。僕は授業で毎週レポートを書かせて、翌週までにチェックして返すことを徹底しています。特に良いレポートは毎回発表し実名を板書するんですが、そうすると、女子は基本的に真面目なので、また頑張りますね。女性は男性に比べてしぶといし、諦めないから成果が出るまでやりますね。


―性格などは個人個人で違うのは当然ですが、総じて女性と男性のものの見方や、アプローチに違いはありますか。
ありますね。私の個人的な意見ですが、男性は背負っているものが少ないのに守りに入る傾向が強い。論文にならないテーマは避けたりしますが、女性は「面白いからやります!」という感覚です。

女性だからといって優遇しない。だから肩肘を張らなくていい

―この企画も「リケジョ」というカテゴリーでくくっています。STAP細胞の小保方さんも「リケジョ」ということでメディアが大きく話題にしたという側面があります。
まず小保方さんのケースは、ある程度、組織に踊らされてしまったという感じがします。ですから「リケジョ」として画一的にとらえない方がいい。ただ、先ほど言ったように、女性研究者は、粘り強さや基礎研究の力があるので、企業の研究所に入っても活躍している人は多いと思います。かえって「女性だから」と優遇されると伸びない。大学でも女性比率が数%の時は優遇されるんです。それが20%くらいになると優遇されなくなり、その方が自然で、普通ですよね。女性だからと言って肩肘を張らないで、学生生活を送れる点が農工大の一番の良さだと思います。
そもそも研究には男女関係ないので、あまり意識しないで研究に没頭でき、協力すべき時は自然にできるのも東京農工大工学部・工学研究院の特徴だと思います。

高校生向けに学校を開放した「女子カフェ」

―農工大の場合、ご両親が「安心して子どもを入学させられる」と感じてもらうケースが多いと聞きました。
高校生向けに学校を開放した「女子カフェ」をやったりしています。農工大の学生に対して、女子ならではの相談するイベントです。」を、「今年度から、高校生向けに学校を開放したオープンキャンパスで、「女子カフェ」をやる予定です。女子カフェは、農工大の現役の女子学生が、女子高生の女性ならではの相談を受けるブースです。理系の女子学生が多い農工大ならではのものです