巨大クローラークレーンはなぜ省スペースで作業できるの?

日立住友重機械建機、後方小旋回がポイントに

 満を持して投入した最大吊り上げ能力350トンのクローラークレーン「SCX3500―3」が活躍する現場が広がっている。1997年に従来機を発売して以来、19年ぶりのフルモデルチェンジ機だ。開発センタの星野浩之主管技師は「設計だけでなく、営業やサービス、製造部門も含めて開発した」と振り返る。

 吊り荷が大型化する一方、物流施設の建設のように、作業や組み立てには狭い工事現場が増えている。しかも、クレーンの旋回時に必要とする敷地半径(後端半径)も大きくなり、現場からは作業のしにくさを指摘する声が上がっていた。SCX3500―3の商用化に向けては、コンパクトさの追求が必要だった。

 そこで日立住友重機械建機クレーンは標準仕様に加えて、後方小旋回仕様を選べるようにした。クローラークレーンの開発では、これまでになかった考え方だ。

 補助クレーンを利用することなく、標準仕様から後方小旋回仕様に切り替えられる。現場の声に応えるために、同仕様では後端半径が6・8メートルで、他社の現行機に比べて1―2メートル小さい。大型機ながら、省スペースで作業できる。

 輸送規制に対応するとともに、分解や組み立てをしやすいように、本体(メーンフレーム)を前後に分割できる構造も取り入れた。

 エンジン・ポンプユニットを縦に配置する設計のままでは分割できないことから横置きに変更した。一方で、保守がしにくくならないために、サービス担当者とのやりとりしながら進めた。また「分解や組み立てで、細かい事故が起こりやすい」(星野主管技師)ことから、作業の安全性も踏まえて実用化した。

日刊工業新聞2017年7月28日

日刊工業新聞 記者

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08月10日
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全社一丸で取り組んだSCX3500―3の展開に向けて追い風が吹く。国内では再開発などの大型工事が見込まれているためだ。作業環境の変化を敏感にとらえて、設計やデザインに的確に反映させたことで、今後の受注でも優位に立ちそうだ。
(日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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