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三菱重工が車載ターボチャージャーの中核部品を中国で生産

国内外で130億円設備投資、年度内に生産1050万超え
三菱重工が車載ターボチャージャーの中核部品を中国で生産

中国の過給器最終組み立て工場

 三菱重工業は2017年度内に自動車用ターボチャージャー(過給器)の生産能力増強に、前年度比3割増の130億円を投じる。中国で18年度から過給器の中核部品であるカートリッジの生産に乗り出すほか、主力拠点の日本とタイで追加投資する。世界的な環境規制の強化で中国や北米を中心に、ガソリン車向け需要が急拡大している。三菱重工は17年度に、過給器の世界生産を同17%増の1050万台に引き上げる。

 三菱重工は中国・上海市に過給器の生産拠点を置いている。上海では現在、最終組み立てだけだがカートリッジまでを手がけ、生産リードタイムを短縮する。中国では17年度に、前年度比で最大20%増の340万台の過給器を生産する計画だ。

 三菱重工は、相模原工場(相模原市中央区)とタイで生産したカートリッジを上海菱重増圧器(SMTC)に供給し、最終組み立てを実施している。18年度からは中国でカートリッジを生産し、生産台数の上積み分を現地で確保する。

 カートリッジ生産ラインは上海の第三工場に整備する。切削などの加工ラインや組み立てラインで構成。自動化技術を盛り込んだ最新のラインとする。すでに1ラインは完成し、2本目も17年度中に設置する。

 相模原とタイでは、最終組み立てとカートリッジのラインを増強する。加工ラインや組み立ての自動化ラインを増設する。カートリッジは17年度にタイで600万台、相模原で300万台の生産を予定する。

 英国やフランスでは40年までに、ガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する検討が進む。中国でも電気自動車を優遇する動きが出ている。ただ、エンジン車の需要は当面堅調に推移するとの見方が支配的で、富士キメラ総研は25年の過給器の世界販売台数を15年比2・1倍の7992台万台と予想する。
日刊工業新聞2017年8月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
 主力拠点の相模原工場(相模原市中央区)にモデルラインを導入、今夏にも過給器生産の完全自動化に向けた実証に乗り出すという。部材の供給にロボットを活用するほか、目視検査には画像処理システムを整備する。自動化による生産性改善で、国内生産を維持、2020年度に出荷台数1200万台(15年度705万台)を目指す。  三菱重工の過給器事業は、グループ会社の三菱重工エンジン&ターボチャージャが担う。相模原工場では、過給器の心臓部であるカートリッジの加工・組み立てや過給器本体の最終組み立てを手がける。カートリッジを中国でも生産することで、国内拠点の高度化が欠かせない。過給器市場は米ハネウェル、同ボルグワーナー、三菱重工、IHIの4強がしのぎを削り、三菱重工の世界シェアは20%程度とみられる。各国で自動車の燃費改善目標が強化されており、競争に乗り遅れるわけにはいかない。

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