ヤマハ発が2輪サプライヤーと取り組む“四位一体”とは?

上席執行役員調達本部長・井上雅弘氏に聞く「知恵も加える」

 ―2019年12月期を最終年度とする中期経営計画も折り返し地点。調達関連の進捗(しんちょく)は。
 「売上高2兆円、営業利益率10%が目標。これに向け調達部門では3年間で600億円のコストダウン、購入材料費5%の圧縮を掲げた。ほぼオンラインで順調に進んでいる」

 ―柱となる取り組みは。
 「ベースとなるプラットフォーム(PF)で複数モデルを展開するPFモデル開発と、価値を生まない作業を減らす理論値生産の二つが両輪。当社のモノづくりが変わり、サプライヤーにもPFコストダウン活動が定着してきた。理論値生産の手法を導入するサプライヤーが国内外で拡大している」

 ―理論値生産をどう根づかせていますか。
 「ロスの減らし方や取り組みをパッケージ化している。サプライヤーの現場に当社から指導者が行き、指導、育成する。日本ではほぼ完了し、対象は海外に広がった。世界のサプライヤーが集まる会合では、インドや中国の企業が熱心に成果を発表するなど、熱が高まってきた」

 ―今後の課題は。
 「継続して取り組んできた開発と製造、調達の三位一体の成果が花開いてきた。ただ仕様やデザインの競争力に比べモノづくりがまだ弱い。今は生産現場でロスを削減しているが、それでは後追い。設計の初期段階から理論値で検討し、システム開発につなげるのが次の目標だ」

 ―それにはサプライヤーの知見も必要です。
 「例えば、エンジン部品のサプライヤーにはこれまでエンジン情報の一部しか開示してこなかった。そこで初めてエンジンを丸ごと貸し出したところ、『この構造なら部品はこうした方が良い』など多くのアイデアが出た。従来の生調技一体に、取引先の知恵も加えた“四位一体”の取り組みに挑戦する」

 ―グローバル調達を目指す上で、人材育成も重要ですね。
 「従業員一人ひとりが品質への高い意識と責任を持つ“私がヤマハ”活動をサプライヤーにも広げていきたい。グローバル人材の登用も進める。いま調達副本部長は日本駐在のフランス人だ。当社は売上高の9割が海外。身近に海外人材がいることでグローバルな視点、発想が磨かれ、ダイバーシティーが一層進むのではないか」
井上雅弘氏

日刊工業新聞2017年8月2日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
08月06日
この記事のファシリテーター

国内2輪車市場が伸び悩む中、サプライヤーの製造現場に長期滞在しての指導など、“共存共栄”の基本方針を貫く。一方で、国内海外の垣根はなく、サプライヤーにはグローバルな競争力が求められる。2輪車、マリン、新規参入する4輪車など、多彩な事業を展開する強みを調達面でどう生かせるかも、今後の競争力を左右しそうだ。
(日刊工業新聞浜松支局・田中弥生)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。