東芝の“地産地消型水素ステーション"、次はバス?タクシー?

フォークリフト向け事業化

 東芝は府中事業所(東京都府中市)において水素を製造し、その場で貯蔵し、所内で利用する「水素エネルギー利活用センター」を開設した。水素の“地産地消”は、水素の供給コストを下げるという。事業化を計画しており、4―5年後にはフォークリフト向け水素ステーションとして数億円で提供する。東芝にとって第2弾の水素エネルギー供給システムとなる。

 水素エネルギー利活用センターは、自動車に給油するディスペンサーに似た装置があり、小さなガソリンスタンドのようだ。日よけの下に燃料電池フォークリフトを停車させ、水素を充填する。

 ガソリンスタンドとの違いは、ノズルを車両につなぐと3分で満タンになること。また、車両から水を抜く作業も自動車との違いだ。フォークリフトの運転で燃料の水素と酸素が反応し、水がたまるためだ。

 “給水素”所の後方に水素の貯蔵タンクがある。水素は隣の建物内で製造する。太陽光パネルがつくった電気で分解装置を動かし、水から水素を取り出す。できた水素は、材料も動力も化石資源に頼らない“CO2フリー”のエネルギーだ。

 電解装置は毎時5ノルマル立方メートルの水素を製造できる。現在、2台の燃料電池フォークリフトを所内で運用しており、17年度中に4台に増やす。水素製造量は4倍まで拡張でき、フォークリフトも16台に増設可能という。

 「水素を地産地消できるので、輸送コストを削減できる」。東芝次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームの大田裕之統括部長は、水素エネルギー利活用センターの特徴を強調する。燃料電池車用の水素ステーションのほとんどは、別の場所で作った水素を運んで貯蔵している。水素エネルギー利活用センターは水素を作る場所も貯蔵する場所も同じなので輸送を省ける。

 しかもフォークリフトは日常的に作業で使うので充填頻度が高く、量産効果で水素の製造コストを低減できる。東芝は水素需要を予測して製造量を調整する技術を開発し、貯蔵スペースの最小化にも取り組んだ。

 同社は外販を検討しており、フォークリフトが多く使われる港湾や工場、物流倉庫への納入を目指す。受注量次第では4―5年後に数億円で提供可能という。

 同社は15年、燃料電池を搭載し、水素の製造と貯蔵、利用までを1台にまとめたエネルギー供給システム「H2One」を開発。ハウステンボス(長崎県佐世保市)などに6カ所に納入した。大田部長は「強みは高度な制御技術」と、これまでの実績を強調する。地産地消型水素ステーションの商業化も早そうだ。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2017年8月4日

松木 喬

松木 喬
08月05日
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東芝の地産地消型水素ステーションは、水素の充填頻度の高い燃料電池(FC)バス、FCタクシーの営業所にも向く気がします。世の中は、電気自動車に向かっているようです。地産地消型水素ステーションは燃料電池搭載モビリティー普及にも貢献するのか、期待してみたいです。

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