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東京・世田谷区、五輪に向けボランティア人材の派遣システム構築

米国チームの事前キャンプや馬術競技の開催見すえた施設整備も
東京・世田谷区、五輪に向けボランティア人材の派遣システム構築

馬事公苑では馬術競技が行われる(イメージ)

 東京都世田谷区は、ボランティアの登録やマッチングの仕組みを確立する。人材バンクを構築し、人と仕事の効率的かつ効果的なマッチングを図る。市民活動・生涯現役推進課の堀込章仁課長は「東京五輪・パラリンピックをきっかけに、ボランティアに興味を持つ人が増えている」という。2017年度中にシステムを完成し、18年度から本格運用を始めたい考え。ボランティアを通じて多様性を尊重する共生の街を目指す。

 同課がまず取り組んでいるのがボランティア実態調査。どこにどういった業務があり、どの程度人数が必要かを把握する作業だ。現在同区が行っているのは世田谷ボランティア協会への案内のみ。今後は区が一括しマッチングする体制に変える。構築したボランティア人材の派遣システムは五輪後も活用する。

 五輪では同区の馬事公苑で馬術競技が実施され、米国チームが事前キャンプを行う。馬事公苑付近の区道の電線類地中化や総合運動場・陸上競技場スタンドの改築、バリアフリー化も実施予定。6200万円の予算を充て機運醸成を図るだけでなく、会場周辺の魅力向上に約2億8900万円をかける。

 玉野宏一オリンピック・パラリンピック担当課長は「オリパラ関連事業は手続きを簡略化している。迅速に勢いよく動かせる」と明かす。五輪・パラリンピックを機に魅力ある街に進化させる。

【記者の目/人材派遣システム確立に注目】
 区は通訳以外にボランティアが必要な場面が増えると予想し、いち早くボランティアマッチング事業に着手。他区のモデルケースになるか注目したい。ただ、区が実施したアンケートによると区民の7割が米国チームの事前キャンプ実施を知らないという。施策に区民を巻き込めるかが、事業推進のカギとなりそうだ。
(文=門脇花梨)
日刊工業新聞2017年8月3日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 世田谷区というと、何となくですが大学のキャンパスの立地が多いイメージがあります。若い人の意見も採り入れた街作りの進展に期待したいです。

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