小惑星「リュウグウ」の到着まで1年、はやぶさ2が到着訓練

“初代はやぶさ”の栄光の再現なるか。生命誕生の謎に迫る

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が地球から3億キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」に到着するまで、あと1年に迫った。プロジェクトチームは小惑星到着時の運用に向けた訓練を始めるなど、準備に余念がない。水や有機物を含む可能性がある小惑星の試料の持ち帰りに成功すれば、地球の生命誕生の謎に迫れるかもしれない。“初代はやぶさ”の栄光の再現なるか―。

 はやぶさ2は、2018年6月にもリュウグウに到着する。リュウグウは鉱物だけでなく水や有機物を含むC型小惑星に属する。

 JAXA宇宙科学研究所のはやぶさ2プロジェクトチームの津田雄一プロジェクトマネージャは、「リュウグウから試料を持ち帰り分析することで、なぜ地球だけに生命が生まれたかを調べられる」と意気込む。はやぶさで実証した深宇宙への往復探査技術を確立し、今後の宇宙探査につなげる狙いもある。

 はやぶさ2には地球帰還カプセルやクレーターを作るための衝突装置、小型ローバー(探査車)のほか、光学カメラなどの観測装置が搭載されている。重量は約600キログラム。

 計画では、小惑星が見えるまで、はやぶさ2を接近させ、小惑星の自転の向きや形状、温度などを見極めた上で着陸しやすい地点を選定。その後、小型ローバーや小型着陸機を着陸させ、小惑星の試料採取を目指す。現在、プロジェクトグループは着陸地点を選ぶための訓練を行っている。

 10日時点で、総飛行距離24億キロメートルに達した。リュウグウへの到着は18年6―7月になる見込みだ。津田プロジェクトマネージャは「はやぶさ2を亀に例えると、“竜宮城”まであと3分の1くらいの距離の深海を進んでいる」と明かす。 

 はやぶさ2はこれまでの航行で複数の新規技術の実証に成功している。まず日本と米国、豪州にある地上局を利用し、探査機の近くに見える電波天体と探査機からの受信電波から、はやぶさ2の軌道を高精度で決定することに成功した。

 さらにはやぶさ2に4基搭載した姿勢制御装置「リアクションホイール」を一つだけ使い、安定的に探査機の向きを制御できた。これは、もともと初代はやぶさがトラブルに陥った際、苦肉の策として編み出して窮地を脱した技術が基だ。初代の遺産はここでも受け継がれている。
(文=冨井哲雄)

日刊工業新聞2017年7月17日

日刊工業新聞 記者

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07月19日
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数々のトラブルに見舞われて満身(まんしん)創痍(そうい)の末、地球に帰還した初代はやぶさと違い、はやぶさ2の旅路はここまで順風そのものだ。しかし、実際にリュウグウへ到着し、サンプルを採取する段階になればどんな困難が待ち受けているか予測できない。順調にいけば、はやぶさ2は20年11―12月ごろ地球に帰還する予定だ。
(日刊工業新聞科学技術部・冨井哲雄)

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