ボッシュVSデンソー、自動運転市場の覇権を握るのはどっちだ!?

自動車部品メーカーの巨人、100年に一度の変革に挑む


「第2の創業期」(デンソー社長)


 世界第2位のメガサプライヤー、デンソーも決してボッシュに後れを取ってはいない。デンソーも走行環境認識では画像センサーやミリ波レーダー、レーザーレーダー、ソナーなどを幅広くそろえ、組み合わせて提案できる強みを持つ。20年に向けて高速道路での合流支援や車線変更支援、緊急時の退避支援などの技術を開発中だ。

 自動運転などの先進技術の開発競争が活発化する中、有馬浩二社長は「モビリティーの新たな価値創造を目指す『第2の創業期』を迎えている」と表現する。

 5月には画像認識用のAIの共同開発などで手を組む東芝と協業を拡大すると公表。富士通テンへの出資比率は10月に51%まで高めるなど、外部の技術の取り込みも積極化する。

 自動運転技術で重要となるAI関連ではデンソーアイティーラボラトリ(東京都渋谷区)で先行開発を実施。AIなどの世界的権威である金出武雄米カーネギーメロン大学教授と技術顧問契約も結んだ。
デンソーアイティーラボラトリの自動運転体験設備

トヨタとの連携焦点


 今後はトヨタ自動車のAI研究子会社の米トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)などと、どこまで踏み込んで連携するかも注目される。

 これらの分野でデンソーが公表している数値目標は先進運転支援システム(ADAS)で20年度に市場2000億円(16年度比2倍)。16年1月に設立した「ADAS推進部」が主導する。

 デンソーはパワートレーン分野の売上高も25年度に16年度比2倍の3兆円に引き上げる意欲的な目標を掲げる。けん引するのは電動化の領域で、1兆円以上伸ばす計画だ。

 デンソーの強みは長年にわたる技術やノウハウの蓄積。約20年前に発売されたトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」の初代から重要な役割を担ってきた。

デンソー最大の子会社「アスモ」


 「電動化の中で非常に大事な会社」。6月の定時株主総会で有馬社長はアスモ(静岡県湖西市)についてこう述べた。アスモはデンソー最大の子会社で連結売上高4000億円超の自動車用小型モーター大手だ。

 モーターと制御回路を一体にした「スマートモーター」ではデンソー社員も含めて「100人ほど集まって日々開発を進めている」(有馬社長)と、グループの総力を挙げて取り組む姿勢を鮮明にした。

 インバーターや電池、ECU(電子制御ユニット)など電動車両の基幹部品を幅広く展開するデンソー。1月にはEVなどの電動化技術開発を担当する「エレクトリフィケーションシステム事業グループ」を新設し、トヨタが16年12月に発足したEVの企画・開発を担う社内ベンチャー「EV事業企画室」にも社員を派遣した。EVへの歩み寄りも本格化する時がきた。
(文=下氏香菜子、名古屋・今村博之)

日刊工業新聞2017年7月14日 「深層断面」

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明 豊

明 豊
07月16日
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個々の技術ではデンソーは負けていないと思うが、システム化、そして意思決定を含めたスピード感でボッシュに劣ると感じる。デンソーはとにかくトヨタ自動車(資本を含め)との関係ををどうするかがすべてと言ってもいい。現状のような最後は顔色を伺う、忖度するという関係は双方にとってマイナスだろう。

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