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残業減で賞与増、「支え合う技能マップ」とは?

野火止製作所「定時に終えようとすると仕事の組み立て方も変わる」
残業減で賞与増、「支え合う技能マップ」とは?

残業削減目標をほぼ全員が達成している(本社工場)

 野火止製作所(埼玉県新座市、川上博史社長)は、残業時間の2割削減や有給休暇の取得奨励など独自の働き方改革をスタートした。まず残業削減目標を達成した場合、その一部を時間給に換算し、賞与に上乗せする制度を導入した。また、社員全員の「技能マップ」をつくり、ある社員が有給休暇により不在の場合でも、同じ技能を持つ社員がカバーできるようにする。

 残業時間では、各自が前年の平均時間に対し2割削減を目指す。その1割削減分を賞与として反映させる。例えば、40時間から目標の32時間に減らした場合、減らした8時間の半分の4時間分を時給に換算して賞与に加える。さらに、目標よりも多く減らした場合は、その時間分をすべて時給換算して上乗せする。

 働き方改革の取り組みについて、川上社長は「生産性を上げることが狙い。定時に終えようとすると仕事の組み立て方も変わり、良い習慣が身に付く」と指摘する。

 正当な理由がなく残業時間が減らない場合は減点対象とするが、現時点でほぼ全員が目標を達成。総残業時間も開始からの3カ月平均で目標を約10時間下回った。

 「この間、会社の粗利益も前年同月比プラスで推移しており、悪くない」(川上社長)と収益面でもマイナスの影響は出ていないとしている。

 有給休暇取得の奨励に向けては、8月までにパート社員を含む全員の技能一覧を作成し、「誰かが休んでも、ほかの人が代わりになれる」仕組みをつくる。同時に「最終的には多能工化を進めないといけない。計画的、継続的に技能伝承する仕組みとしても必要」という狙いもある。
日刊工業新聞2017年7月13日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
さらに、毎朝実施している朝礼も現場からの声を受け、より効果的な形に変更する。内容は現場の社員に任せており、「現場からのアンケートを元に、元気の出るような朝礼にしてもらう。8月にはスタートする」見通しだ。 (日刊工業新聞川越支局長・大橋修)

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