メガソーラーに新技術。先導する海外勢と追いかける日本企業

コスト削減・長寿命化に貢献

 外資が先導し、日本の太陽光発電市場に新しい技術の導入が始まった。大規模太陽光発電所(メガソーラー)を高電圧化する1500ボルト対応パワーコンディショナー(電力調整装置)を欧州メーカーが売り込んでいる。表、裏面ともガラスの太陽光パネルは中国メーカーが普及を主導する。いずれもコスト削減や長寿命化に貢献する新技術であり、日本メーカーが続くのか注目される。

送電量を増大


 Looop(東京都文京区)が3月末、水戸市で稼働させたメガソーラーに仏GEパワーコンバージョン製パワコンが採用された。日本初の1500ボルト対応パワコンだ。

 1000ボルトが標準になりつつある日本と違い、海外では1500ボルトパワコンが急速に広がっている。高電圧化するとパワコン1台が電力系統に送る電気を増大できる。1台が扱うパネル枚数も増えるので、パワコン台数を減らせる。パネルとパワコンをつなぐケーブル本数も削減でき、メガソーラーの部材費や工費を圧縮できる。

 パワコン世界大手の独SMAの日本法人、SMAジャパン(東京都港区)の今津武士社長は「初期費用を3割下げられる」と1500ボルト化の利点を話す。

 同社も日本で1500ボルト対応パワコンを発売予定だ。「外資の発電事業者からの引き合いが多い。外資が1500ボルト化を引っ張る」と見通す。

 海外のメガソーラー建設でメリットを認めた外資発電事業者が、日本で開発するメガソーラーにも1500ボルトパワコンを採用するという流れだ。

 GE系、SMA以外に仏シュナイダーエレクトリックも1500ボルトを日本で発売する。日本勢では東芝三菱電機産業システム(東京都中央区)が製品化済み。富士電機、日立製作所も開発中だ。

30年保証


 両面ガラスの太陽光パネルは中国太陽電池大手のトリナ・ソーラーが日本で積極的に提案する。通常のパネルは表がガラス、裏が樹脂シート。樹脂から微量の水分が浸入し、内部の太陽電池が劣化すると考えられている。両面ガラスなら水分の浸入を防げ、太陽電池の寿命を延ばせる。

 トリナは両面ガラスパネルを「30年保証」と打ち出し、世界で90万キロワットの導入した。日本では大阪市臨海部の物流施設の屋根に7500キロワットを取り付けた。海からの湿気や塩害対策として両面ガラスパネルの耐久性を生かせる。

 カナディアン・ソーラーも両面ガラスパネルの受注を日本で始めた。日本の太陽電池メーカーも製品化した実績はあるが、本格的な販売はまだ。今のところ外資が普及をけん引する。

日刊工業新聞2017年7月11日

松木 喬

松木 喬
07月12日
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 12年のFIT前と後では、太陽光発電産業の景色が大きく変わったのではないでしょうか。FIT前、すでに生産量で海外勢などに抜かれていた日本の太陽電池メーカーですが、技術では世界トップでした。おそらく今もトップ級なはずですが、残念ながら新技術を実用化するスピードはありません。ダブルガラスも以前からあった技術ですが、日本メーカーが実証的に取り組んでいるうちに、海外勢が先行しました。もともと日本には強い化学産業があるので、樹脂シートでも十分、耐久があるので、すぐに両面ガラスにする必要もなさそうですが。

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