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ブラジル選手のプレー、大田区で間近に体感

東京五輪・パラリンピックの事前キャンプ地に決定
ブラジル選手のプレー、大田区で間近に体感

ブラジルチームが事前キャンプを予定する「平和の森公園」アーチェリー場

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、16年から「事前キャンプ等誘致促進事業」を展開してきた東京都大田区が、ブラジル選手団の事前キャンプ地に決まった。ビーチバレーなどの選手が平和島ユースセンターに宿泊し、区内各施設で競技の練習に励む予定だ。試験的利用を進め、19年の正式契約を目指す。一方、区内企業と連携し、パラリンピック向けの道具づくりに挑む。スポーツとモノづくり、両方の視点から取り組みで大会を盛り上げる。

 同区は大森スポーツセンターなど区内の一部をスポーツ健康ゾーンに指定し、区民のスポーツ振興、健康促進を進めてきた。今回の誘致でこの動きを加速させる。松原忠義区長は「ブラジルはバレーボールやビーチバレーが強く、オリンピックでも結果を出している。世界レベルを体感してほしい」と話している。

 また、モノづくりの集積地である同区は、予算2500万円を充て、車いすバスケットボール用車いすの部品を製造する計画を立てた。7月中に区内企業を中心とした約10社で「産業クラスター」を形成し、秋頃に試作品を完成させたいとしている。各社が自動車などの各分野で培ってきた技術を、車いすという全く新しい分野に応用し、技術力を世界にアピールする考えだ。

 同区が五輪・パラリンピック推進事業に充てる予算は総額3151万6000円。事前キャンプの誘致以外にも区内イベントへのトップアスリート派遣などの取り組みを行う。

【記者の目】
 羽田空港を擁する同区は、特区民泊実施の効果もあり、着々と国際化が進んでいる。快適な事前キャンプの提供が予想される。ただ、車いす製造に関しては車いす全体の設計をどこに頼むのかなど課題も多い。時間が迫る中、早急な決定、実行が求められる。第2の“下町ボブスレー”を生み出せるのか、注目したい。(南東京・門脇花梨)
日刊工業新聞 2017年7月11日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 大田区のHPによると、事前キャンプの予定競技はバレーボール、ビーチバレー、ハンドボール、水泳マラソン、アーチェリー。下町ボブスレーにおけるジャマイカのように、ブラジル選手団ともモノづくりを通じて新たな縁が生まれるといいですね。

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