FCV普及へ、どのように水素を作っていくのかが試される

神鋼、水素ステーション向け熱交換器を海外で拡販

 神戸製鋼所は水素ステーションの水素冷却用に、省スペース型熱交換器(用語参照)の売り込みを海外で強める。市場が広がっているドイツやフランスなどで、ステーションの設計・施工業者や設備メーカーと協力関係を築き、顧客開拓を共同で進める。従来の熱交換器より伝熱性能が高く、設置スペースの容積を10分の1程度に抑えられる利点を訴求し、国内外合わせて累計150台余りの受注実績を今後、年間30台以上のペースで伸ばしたい意向だ。

 国内では稼働率の低さなどから、水素ステーションの数が伸び悩んでいる。これに対して独・仏や米カリフォルニア州などでは、政府の補助金や関係業界による燃料電池車(FCV)普及活動の成果で、ステーションが急速に増えている。この機に省スペース型熱交換器「DCHE」を拡販するため、各国の設計・施工業者に協力を呼びかけるほか、熱交換器を搭載する水素ディスペンサーのメーカーにも、DCHEの採用を働きかける。

 足元のシェアは明確でないが、海外展開をテコに将来、水素ステーション向けで世界シェア50%を目指す。

 DCHEは水素の通り道として幅1ミリ―2ミリメートルの溝を刻んだステンレス鋼板を重ね、拡散接合(高温下で加圧し、原子レベルで結合させる接合方法)で接着させる構造。水素が入り込んでも、もろくなりにくい特殊なステンレス鋼を日本冶金工業が供給し、神鋼が製品に仕上げる。

 従来の二重管式熱交換器に比べ、単位体積当たりの伝熱面積が約5倍と広く、省スペース化や省エネルギー化の効果が見込める。ステーション全体の小型化と設置費用の低減にもつながり、2012年の製品化以降、海外だけで約30台の受注を獲得した。

【用語】水素ステーション向け熱交換器=高圧の水素をFCVの燃料タンクに短時間で充填すると、断熱圧縮現象によって温度が上昇し、タンクに悪影響を与えるため、水素をあらかじめマイナス40度以下に冷却しておかなければならない。水素ステーションでは水素を加圧する圧縮機や水素のディスペンサーに、冷却装置として熱交換器を取り付けるのが一般的。従来は二重の管の内管と外管に温度が異なる流体を流し、熱を移動させる二重管式熱交換器が多く使われていた。


日刊工業新聞2017年7月11日



アンモニア燃料電池、世界最高の1kW発電に成功


 京都大学大学院の江口浩一教授らとノリタケカンパニーリミテド、IHI、日本触媒、豊田自動織機、三井化学、トクヤマの研究グループは、アンモニアを燃料とする固体酸化型燃料電池(SOFC)で1キロワットの発電に成功した。アンモニアSOFCでは世界最高の発電規模だという。住宅1軒分の1日の電力をまかなえる出力となる。有害物質や温暖化ガスが発生しない発電の実用化に期待できる。

 研究グループは汎用的なSOFCのセルとして、電圧や出力を高める導電性材料を挟みながら30個重ねた集合体(スタック)を使用。通常の都市ガスに代えてアンモニアを燃料として供給し、1キロワットの発電を実現した。

 7立方メートルのボンベで、1キロワットの発電が約3日続けられる。今後、セルの量を増やし、コンビニエンスストアなど小規模商業施設で使える3キロ―5キロワットの業務用で実用化を目指す。

 水素エネルギーの利用には、化学的に安定した液体として保存や消費地への輸送ができるエネルギーキャリアが必要。アンモニアは炭素を含まず水素の割合が多い物質のため、生産や運搬、保存の方法が確立している。

 江口教授は「アンモニアを燃料として使用する考えが浸透すれば普及が可能」とみている。

 内閣府の支援事業「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の一環。成果は9―12日にチェコのプラハ市で開かれる「第7回世界水素技術会議」で発表する。

日刊工業新聞2017年7月4日

米山 昌宏

米山 昌宏
07月11日
この記事のファシリテーター

最近水素関連の記事をよく見る。本日の水素ステーションの記事のほかにも、7月4日付の記事でアンモニア燃料電池が取り上げられていた。また、ある欧州の自動車会社は、全車種をEVもしくはハイブリッドにするというアナウンスをした。水素は、製油所を除けば、天然ガス、石炭の水熱分解で主に作られているため、生産時に炭酸ガスを発生する。一方、太陽電池からの電気を使い水の電気分解から水素を得る方法も実用化されつつある。今後、どのように水素を作っていくかが、今後の課題だと思う。

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