小さく・細く・薄く−。中小企業が展開する、医療機器革新

 医療機器市場の成長を見据え、中堅・中小企業が事業拡大の機会をうかがっている。高齢化の進展や新興国経済の発展などを背景に、医療機器市場は拡大傾向が続く。政府も支援策を充実させる中、高度なモノづくり力を生かし、部品供給や試作開発などを展開する企業が増えてきた。中堅・中小のモノづくり技術が、医療機器産業の活性化を後押ししている。

製品拡大に意欲


 医療機器の部品加工を手がけるサンエー精工(埼玉県朝霞市)は、「当たり前のことだが図面通りに部品を作り上げる」(同社)という高品質、高信頼性が強み。

 ステンレス製のパイプ加工品は内視鏡スコープの湾曲部の部品などに採用されているほか、頭蓋骨固定用プレートなど自社製品の取り扱いも増やすなど、医療分野での拡大を目指している。

 アラム(大阪市北区)が8月に発売を予定するプラスチック部品「Nジョイナー」は、生化学分析装置などの継ぎ手部品として採用を見込んでいる。

 低コストで豊富な製品構成が特徴。「部品の形状を従来よりもコンパクトにすることで、樹脂使用量を減らすことができ、コストも下げられた」(本社・営業部)。

 注射針用精密ステンレスパイプメーカーの手島精管(群馬県館林市)は独自技術で外径0・127ミリ、内径0・0508ミリメートルのステンレスパイプの製造に成功している。「微小で薄肉のパイプを作れることを強みに、用途を広げていきたい」(営業部)考えだ。
アラムが8月に発売予定のプラスチック製継ぎ手部品

高度化で新用途


 大場機工(静岡県富士宮市)の髪の毛の太さ(平均0・08ミリメートル)よりも細い、外径0・05ミリメートル、内径0・02ミリメートルのパイプは国内大学病院の眼疾患の手術時の投薬用途などで使用されているという。

 「他社がやらないようなニッチな強みをアピールし、小さくて、細く、というニーズにマッチしていきたい」と担当者は語る。

 マルホ発條工業(京都市下京区)は微小バネを中心とする精密金属加工技術を生かし、厚さ0・05ミリ―0・5ミリメートルのリングを積層した首ふり部品を製品化している。直径2ミリメートル以下に小径化が可能で、「経鼻内視鏡などの小型化に貢献している」(同社)という。

 バルブボールメーカーの木田バルブ・ボール(東大阪市)は、真球度や表面粗さの精度の高さなど得意技術を生かし、高い精度が要求される人工関節など医療分野にも進出している。

 担当者は「社名からは想像できないかもしれないが、国内医療機器メーカーなどから試作の依頼も増えている」とし、今後の取引拡大に意欲を見せている。
真球度や表面粗さ精度の高さが強みの木田バルブ・ボール

日刊工業新聞 2017年7月4日

村上 毅

村上 毅
07月11日
この記事のファシリテーター

中小部品メーカーからは医療機器業界は参入障壁が高く、手間がかかる割に小ロットで儲からないというような話をよく聞く。だが、モノづくりの力が医療技術の革新を支えているのは間違いない。誇りを持ってぜひ積極的に新規参入を図って欲しい。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。