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商社がインドネシアで「地熱発電」受注競争

インドネシアは世界最大級の地熱エネルギー保有国
 日系商社大手によるインドネシアでの地熱発電事業が活発化している。住友商事はインドネシア・スマトラ島のウルブル地熱発電所4号機を完成し、稼働した。発電容量は5万5000キロワットで、発電した電力は売電し、周辺地域に供給する。インドネシアは地熱発電を推進しており、2025年に発電総容量720万キロワット(現在は約167万キロワット)を目標とする。三菱商事伊藤忠商事もインドネシアの地熱発電事業に参画しており、受注競争が熱を帯びそうだ。

 住友商事は子会社の住商機電貿易(東京都中央区)を通じ、ウルブル地熱発電所を運営する。16年8月に稼働した3号機と合わせ、インドネシアの大手エンジニアリング会社のレカヤサ・インダストリと共同で建設工事を受注した。受注額は1億77000万ドル(約197億円)。

 発電した電力はインドネシアの国営石油ガス会社「プルタミナ」の地熱発電子会社を通じ、国営電力会社に売電する。住友商事の地熱発電における現地シェアは50%。受注増でシェア維持を目指す。

 伊藤忠商事は3月にスマトラ島のサルーラ地熱発電所1号機を稼働した。18年3月までに2号機、18年4月に3号機と増設し、順次稼働する計画だ。

 サルーラ地熱発電所は発電総容量32万キロワットと世界最大規模の地熱発電所。伊藤忠はパートナーの九州電力や国際石油開発帝石などと運営から売電までを手がける。
 
 三菱商事はワヤン・ウィンドゥ地熱発電所3、4号機増設計画を見据え、現地での受注活動を展開する。同社はEPC(設計・調達・建設)ではなく、運営や売電まで手がけるIPP(独立系発電事業者)として事業を展開する。

 インドネシアは世界最大級の地熱エネルギー保有国。一方で、蒸気量や温度の関係で、着工後に当初想定した電力量が見込めなくなるなど、計画の変更を余儀なくされるリスクもある。今後は資金の枠組みやパートナー選定などで、こうしたリスクをいかに低減するかが、各社の課題となりそうだ。
日刊工業新聞2017年06月29日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
地熱も再生可能エネルギーなので、風力や太陽光などと同じく、場所によって発電ができるか、発電できたとしても発電量がどのくらいか、不安定なところがあります。その点をファイナンススキームなどでどのように補完するか、というのが重要になってきます。

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