タカタ破綻、下請け企業の回収はどうなる?

自動車メーカー各社がどの程度のリコール債権を申請するか

 欠陥エアバッグの無料回収・修理(リコール)問題で経営危機にあるタカタは26日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、受理されたと発表した。負債総額は3月末で約3800億円。東京商工リサーチによると自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含めると1兆7000億円規模に上る見込みで、製造業では戦後最大となる。今後は事業を継続しつつ、支援企業となる中国系企業の下で経営再建を図る。

 「すべての関係者、債権者の皆さまにご迷惑をおかけし、心より深くおわび申し上げる」。高田重久タカタ会長兼社長は同日、東京都内で記者会見を開き、深々と頭を下げた。

 米子会社のTKホールディングスを含む海外子会社12社は米連邦破産法第11条の適用を申請した。再建策のとりまとめにあたった須藤英章弁護士は「米国で多くの訴訟が起き、すべての債務処理は難しいと判断した」と申請の理由を説明。一方で「日米以外の地域では私的整理で処理する」とした。

 タカタの株式は7月27日付で上場廃止になる予定。高田会長兼社長は「事業譲渡までの適切な時期に辞任し、新たな経営陣に引き継ぐ」方針だ。インフレーターの生産は20年3月期まで継続する。KSSはタカタの工場は閉鎖しない。

 タカタの民事再生法適用申請を受け、サプライヤーへの影響が懸念される。帝国データバンクによると、タカタの下請け企業数は全国で約570社。業績への影響が注視される。

 26日、民事再生法を申請したタカタ。申請後も工場の操業を停止しない方針だ。同日、愛知川製造所(滋賀県愛荘町)で急きょ開かれた取引先向け説明会でも、その方針について説明があった。

 エアバッグ用ケースなどを手がける愛知県のサプライヤーの幹部は、「事業が停止しないのはひとまず安心だ」と胸をなで下ろす。シートベルト用部品を納める三重県亀山市の会社や、同じく同部品を納める神戸市のメーカーも「これまで通り取引が継続できそうだ」としている。

 ただ、静岡県内のサプライヤーは「長期的視点で見ると、事業に何かしら影響が出てこないとも限らない」と注意深く見守る構え。26日の記者会見では、一般債権の全額弁済に関して特段の言及がなかった。

 東京商工リサーチの担当者は「全額弁済の方針が決まらないと、資金繰りに今後影響が出てくると考えられる。(取引先は)まだ安心はできない」との見方を示した。

 企業法務に詳しい、みらい総合法律事務所の山内亘パートナー弁護士は、タカタの下請け企業の債権について「タカタが検討している事業譲渡スキームでは、事業譲渡で得た資金を基に再生計画に従って弁済することになる」とした上で、「基本的にはリコール債権と同列に扱われるため、下請け企業への弁済額は非常に低額になることが予想される」と説明する。

 また、今後のポイントは「自動車メーカー各社がどの程度のリコール債権を申請するかではないか。その規模によって、下請け企業が回収できる債権額も変わってくる」と指摘する。

 さらにタカタ製エアバッグで事故が起こった場合、被害者が新会社(譲受会社)に賠償請求できるかについて、「新会社は別会社のため、事業譲渡の契約内容次第だが、基本的には将来の偶発的債務は引き継がない。被害者が新会社に損害賠償請求をするのは難しいだろう」としている。
             

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日刊工業新聞2017年6月27日の記事を再編集

安東 泰志

安東 泰志
06月27日
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民事再生法は再建型の法的整理であり、申請時に直ちに経営陣が退任する必要はない。スポンサーが作る受け皿会社に必要な事業や人員等のみ事業譲渡するため、債権債務を相当程度確定させることにより、相応の事業譲渡代金が抜け殻会社に支払われ、それによって金融債務やリコール費用などに係る自動車会社等への債務が一部弁済される。その後、その抜け殻会社は清算されることになる。よって事業譲渡時点で経営陣は退任することになろう。

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