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外国人留学生4倍へ。少子化対策ではない立教大の国際化宣言

吉岡学長に聞く「学内のダイバーシティーを広げる」
外国人留学生4倍へ。少子化対策ではない立教大の国際化宣言

立教大公式ページより

 創立150周年を迎える2024年度までに海外協定大学を14年度比約2倍の300校に増やすほか、原則全ての学生に留学などで海外を経験させるなどの目標を掲げる立教大学。海外事務所を1月に中国・上海、3月にはインドネシア・ジャカルタに新設するなど、国際化に向けた動きを加速させている。国際化を進める背景などを、吉岡知哉総長に聞いた。

 ―国際化推進の進捗(ちょく)状況は。
 「文部科学省の『スーパーグローバル大学創成支援』として国際化に取り組んでいるが、24年度に外国人留学生の数を14年度比4倍となる2000人に増やす。学部の留学生を300人から1000人に、大学院の留学生を270人から300人とする。協定校からの交換留学生も300人から350人にするほか、短期プログラムにも力を入れ、留学生の増加につなげる」

 ―目標を達成するための施策は。
 「協定校を増やすことが非常に重要だ。現在200校を超えているが、24年度までに300校に拡大する。数だけでなく協定先の質も重視する。自信を持って学生を送り出せるような大学を協定先に選んでいる」

 ―国際化を進める背景に、少子化対策の側面もありますか。
 「そういった狙いはあまりない。国内外から質の高い学生を集めた上、学内のダイバーシティー(多様性)を広げることが目的だ。学校教育は限られた領域の中で行われるし、均質化している。一方、社会は多様化している。企業にとってもダイバーシティーはキーワードだろう。社会が多様でないと、その社会や組織は生き残れない。いろいろな能力を持った人が集まっていることが、組織には求められるのではないか」

 ―キャリア教育にも注力していますね。
 「学生生活全体がキャリア形成だと考えているので、キャリアを形成するという発想で授業を構成している。さらに企業などとのミスマッチを防ぐため、社会の仕組みをはじめ、働くとはどういうことかなど基本的なことを学生が身に付けられるよう心がけている。専門知識を社会の中でどのように生かせるか、学んでほしい」
吉岡知哉氏

(聞き手=福沢尚季)
【略歴】
吉岡知哉(よしおか・ともや)76年(昭51)東大法卒、同年東大法学部助手。80年立教大法学部助手、81年専任講師、83年助教授、90年教授。02年法学部長、10年総長。法学博士。64歳。
日刊工業新聞2017年6月22日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
立教大は部活やボランティアなど、授業以外のさまざまな活動を学生の成長過程として捉える「立教ラーニングスタイル」を16年に導入。その部活では11日に野球部が59年ぶりの全日本大学野球選手権優勝を果たした。24年度に向けた中長期ビジョン達成へ、野球部の吉報が追い風となるか注目したい。 (日刊工業新聞科学技術部・福沢尚季)

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