キヤノン子会社、約20年越しで宇宙ビジネスの夢へ

キヤノン電子が親会社から離れた場所からイノベーション目指す

 キヤノン電子は23日、同社初の超小型人工衛星をインド南部のサティシュ・ダワン宇宙センターからインドの「PSLVロケット」で打ち上げた。衛星に積んだ一眼レフカメラで地球周回軌道上から空間解像度1メートル、縦4キロ×横6キロメートルの長方形の写真の撮影を試みる。衛星ビジネス事業化への第一歩として同社の期待は大きい。

 打ち上げるのは地球観測光学技術実証衛星「CE―SAT―I」。実は衛星完成までには長い道のりがあった。1999年の社長就任当初から、酒巻久社長は「宇宙事業をやりたい」という夢を持っていた。

 夢をかなえるため酒巻社長は経営再建に着手。10年後の2009年から社内人材で宇宙事業の基礎研究を始めた。

 13年には当時の信州大学准教授で、現在は同社の衛星開発の責任者である酒匂信匡(さこう・のぶただ)衛星システム研究所所長が入社。本格的な衛星開発が始まり15年に試験機を完成させた。

 展開前の衛星の大きさは50センチ×50センチ×80センチメートルの直方体で質量は60キログラム。上空600キロメートルの軌道から地上を撮影し性能を検証する。衛星には撮影領域が異なる2種類のキヤノン製カメラを搭載する。

 地上の衛星画像は防災や農業などさまざまな分野への利用が期待される。酒匂所長は「実証実験を成功させ、衛星画像や衛星自体の販売につなげる。販売価格を1機あたり10億円以下に抑え、多くのユーザーに衛星を使ってもらいたい」とプロジェクトの成功に期待する。
                   

(文=冨井哲雄)

日刊工業新聞2017年6月23日の記事を一部修正

明 豊

明 豊
06月24日
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キヤノン本体の新規事業育成はなかなか手間取っている。キヤノンの御手洗会長が確信犯で辺境の地におけるイノベーションに期待していたかは分からない部分もあるが、事業化に向けどこまでキヤノン電子に任せるのか、判断が難しくなるぐらいまで軌道に乗って欲しい。

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