哨戒機「P1」輸出へ布石。マクロン仏大統領「素晴らしい機体だ」

防衛装備庁、パリ航空ショー初出展

 防衛装備庁は航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」で19日(現地時間)、海上自衛隊の固定翼哨戒機「P1」を実機展示した。フランス政府の要請を受けての出展で、自衛隊機が民間機中心の海外航空ショーに実機を出展するのは初めて。日本政府が防衛装備品の輸出にかじを切った中で、P1は特に成果が期待される機種だ。製造を担う日本企業からは、出展を歓迎する声が上がる。

 パリ航空ショーの開幕間もない19日正午ごろ、パリ北東部の会場ル・ブルジェ空港では、P1の周囲に人だかりができていた。

 マクロン仏大統領が訪れたためだ。出迎えたのは若宮健嗣防衛副大臣。マクロン大統領は「素晴らしい機体だ」とP1をたたえ、若宮副大臣は「日仏の防衛協力の象徴にしたい」と応じたという。

 若宮副大臣は面会後、仏へのP1の輸出の可能性を記者団に問われると、「具体的にどう進むかわからないが、いろんなレベルで話があると期待している」と語った。

 日本政府は2014年、防衛装備移転三原則の運用を始め、防衛装備品の輸出条件を大幅に緩和した。だが、16年に豪州の潜水艦受注をめぐり仏に敗れるなど、これまで成果は出ていない。

 そうした中で期待を集めるのがP1だ。15年に英国の軍用機航空ショーに出展したのに続き、パリ国際航空ショーに乗り込んだ。

 P1の製造に携わるメーカーからは、出展を輸出につなげてほしいとの声が上がる。川崎重工業は岐阜県各務原市の工場でP1を製造する。

 16年度までに35機(2機は試作機)受注したが、政府が輸出に成功すれば、大幅なビジネス拡大が見込める。並木祐之常務執行役員は「国内では製造できる機数は限られる。輸出できれば非常に良いチャンス」と期待する。

 IHIはP1のエンジン「F7」を製造する。民間機向けは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)など海外大手に部品を供給するのに対し、F7はIHIが全体をとりまとめる。松本直士執行役員は「日本でエンジンを製造する能力を維持できる」とF7を手がける意義を挙げつつ、「低空飛行できる優れた哨戒機なので、世界に向けたアピールになれば」と出展を歓迎する。

 防衛装備品は各国の安全保障にかかわるため、輸出は一筋縄ではいかない。日本と輸出先の関係だけでなく、競合相手といかに渡り合うかも重要になる。そうしたハードルはあるが、今回の実機展示はP1を世界に知ってもらう格好の機会になったと言える。
(パリ=戸村智幸)

日刊工業新聞2017年6月21日

杉本 要

杉本 要
06月21日
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防衛装備移転三原則が制定されて3年以上。防衛省が輸出に向けた音頭を取ってくれることは防衛関連企業としてもありがたいところでしょう。一方で「機体もエンジンも日本製」である純国産のP1は、輸出に当たってその商品力が試されます。実績のない日本の製品が国際市場で受け入れられるか。性能は?耐久性は?政治的理由以外にも、輸出への難しさはたくさんあります。

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