ロボットの「ちょっと使いにくい」を解決するベンチャー、かっこいい新社屋の意味は?

ロボットシステムソフトウエア「LinkWiz」

 ロボットの「チョット使いにくい」を解決したい―。LinkWiz(リンクウィズ、浜松市中区、吹野豪社長、053・401・3450)は2015年に起業したベンチャー。産業用ロボットが自動で物体認識し、動きを補正するソフトウエアを主力とする。「町工場でも簡単に使える統合型ロボットシステムを開発したい」と夢を語る吹野社長に事業の将来性や今後の戦略を聞いた。

―起業のきっかけは。

「ロボットシステムに対する問題意識は10年以上前からあった。産業用ロボットの世界市場は、20年に現在の2倍以上に膨らむと言われる。一方で操作プログラムを組むティーチング技術者の不足は深刻だ。労働力不足やインダストリー4・0がクローズアップされ、風が吹いたと感じた」

―ロボットの使いにくさとは。

「3D(3次元)CADで設計したものはパソコンの中では寸分の誤差なくできあがるが、実際は各パーツにわずかな誤差がある。モノづくりの現場はそのすり合わせに多くの時間とコストを費やしている。またロボットはティーチングされた作業は正確にこなすが、変化への対応が苦手。現場ではロボットの不得手を人間が補うケースも少なくない。当社の技術はそれをソフトウエアで補うことができる」

―問題をどう解決しますか。

「ロボットのティーチング自動生成ソフト『Lロボット』は3Dスキャナーとロボットを作動させながらティーチングを自動生成し、さらに物体に合わせ軌道修正する。自動検査ソフト『Lクオリファイ』と組み合わせれば、生産から品質検査まで、一つひとつの部品や製品に対応したインテリジェントなロボットシステムを構築できる。両ソフトで得たデータを使い、ロボットをIoT(モノのインターネット)デバイスとして活用し、スマートファクトリーを実現する『Lファクトリー』も開発中だ」

―新社屋は音楽スタジオのようなおしゃれな雰囲気です。

「産業用ロボットやフライス盤を置き、製品開発やテストを行う。取引先にも自由に出入りしてもらい、デモや試作に活用していく。新社屋はキッチンを併設し、内装にもこだわった。ベンチャーは信用を得るまでが難しい。来てくれる人に面白そうと期待してもらえるよう意識した」
LinkWiz社長・吹野豪氏

(文=浜松編集委員・田中弥生)

【チェックポイント/3D形状認識技術に強み】
 導入実績は自動車関連などですでに40社超。バーチャルとリアルの橋渡しをする技術が、ユーザーから高評価を得ている。起業した浜松市は3DCADシステムのエンジニアが集積する。吹野社長も“浜松CAD”の一角を占める企業の出身で、同社のソフトは高度な3D形状認識技術を強みとする。社名に含まれる“wiz”は魔法使い。「大企業や専門技術者でなくても、ロボットを簡単に操作できる魔法のような技術を提供したい」との思いを込めたという。

<「浜松」で起業したのにはわけがあった>

日刊工業新聞2017年6月20日

昆 梓紗

昆 梓紗
06月20日
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以前ニュースイッチの「挑戦する地方ベンチャー」でも取り上げたリンクウィズ。地元・浜松に根付き新しい挑戦を続けていて嬉しく思います。

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