「ゴルフ」が消える日。高齢化するプレイヤー、減る接待…

<情報工場 「読学」のススメ#33>市場活性化へもう時間はない


本来の楽しさ、面白さを引き出す柔軟な改革を


 物事の持続性(サステナビリティ)を高めるには、まずは、それの「本質」を見極めることだ。そしてその本質を壊したり、ズラさないよう注意しながら、周辺にあるものや、本質を包み込んでいるものを、環境や時代に合わせて柔軟に変えていくのだ。

 ゴルフにでも、まずは「本質」、すなわち「ゴルフ本来の楽しさ、面白さ」を考える。それは「お金をかけること」でも「お偉いさんを接待すること」でもないはずだ。現状、ゴルフの「本質」を包み込み、覆い隠している代表格は、先ほどの「三大イメージ」である。では、それを引っ剥がそう。

 本書では、ゴルフについてまわる「形式主義」も、人気復活の足かせになっていると指摘している。ゴルフは18ホール(1ラウンド)を回るのが基本。半分の9ホールで完結するのを「ハーフ(ラウンド)」と呼ぶが、著者によれば日本のゴルフ場でハーフをプレーできるのはごく少数だという。

 しかも早朝(日の出とともに)、薄暮(日没になったら終わり)といった特殊な時間帯に設定されていることがほとんど。これでは「1日かけて1ラウンド回る時間はないが、ちょっと時間が空いた時にハーフを回りたい」といったニーズに応えられない。

 ゴルフ場の言い分は、ハーフ希望に対応していると、スケジュールなどが煩雑になる、というものだ。だが、そんなことは言っていられないのではないだろうか。しかも、今の時代は情報技術を使えば煩雑な処理も一気に片づくはずだ。

 「おじさんのスポーツ」を払拭するには、たとえばゴルフウェアのデザインを変えてみたらどうか。「定番」にこだわらず、機能性を重視したまま、若者ウケがいいファッションを検討できないか。また、若者対応ということであれば、ロックフェスなどのイベントとのコラボはどうだろうか。

 「お金がかかる」問題については、シェアリングエコノミーを応用する。ゴルフ場に出かける費用や労力が、というのであればVR(仮想現実)を使ったシミュレーションゴルフはどうだろう。現状、シミュレーションゴルフは進化しており、かなりリアルに近づいているそうだが、それを最新技術を使ってさらに進歩させる。それとリアルなゴルフ場でのプレーを柔軟に組み合わせられると、なお良い。

 普段ゴルフをプレーしない私のような人間でも、こうしたアイデアはすぐに出てくる。逆にゴルフを知らない方が新鮮な発想ができるのかもしれない。いろいろな発想を引き出すためにも、やはりゴルフの「本質」を取り出し、アピールするのが先決だろう。
(文=情報工場「SERENDIP」編集部)


『ゴルフが消える日』
-至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか
赤坂 厚 著
中央公論新社(中公新書ラクレ)
224p 780円(税別)


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冨岡 桂子

冨岡 桂子
06月17日
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 ボウリングは1960~70年代のブーム後、ボウリング離れが進んだ。だが最近、復活の兆しを見せている。ブームを経験したシニア層にリタイア後の趣味として売り込んだことが功を奏しているとのことだが、小学生向けの大会を始め、将来の顧客層の育成も始めているようだ。そういった活動が行われているとは知らなかった。目立たなくても地味な取組みが復活には肝かもしれない。

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