東芝メモリ売却、優先交渉先を21日に決定

28日の株主総会に向けギリギリの判断

 東芝が21日にも取締役会を開き、現在進めている半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却について、優先交渉先を決める方針であることが、14日、分かった。

 ただ政府系ファンドの産業革新機構や米ファンドなどが軸となる「日米連合」や、 売却に反対する協業先の米ウエスタンデジタル(WD)などの動きが定まっておらず、事態は今も混沌としている。

 21日に優先交渉先を決められなければ、予定している28日の株主総会までの決着はほぼ不可能になり、2018年3月末を期限とする売却手続きの完了時期にも影響しそうだ。

「日米連合」詰めの一手は一発勝負


 東芝が、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先決定の期限とする28日まで半月を切った。来週にかけて優先交渉先を決めたい考えで、選定作業を本格化する。そうした中、政府系ファンド・産業革新機構などを軸とする「日米連合」が、どんな提案を出すのか注目される。特に金額面で、2兆2000億円を提示する米ブロードコムに迫れるかが焦点だ。

 これまで革新機構、日本政策投資銀行、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)を中心に日米連合の結成が模索されてきた。さらに足元では米ファンドのベインキャピタルと韓国SKハイニックスの連合が枠組みに加わる動きが出ている。

 東芝メモリと同業のSKハイニックスは、独占禁止法の審査の長期化を避けるため出資ではなく、融資という形で参加する案が浮上している。

 また、革新機構首脳は「日本の事業会社が参加する前提で動いている」としており、10数社が少額出資する計画が最終段階にある。新たなメンバーを含む日米連合で2兆円規模の買収資金を確保したい考え。

 日米連合と並んで有力視されるのがブロードコムだ。独占禁止法リスクが少なく「提案内容もしっかりしている」と東芝幹部は評価している。

 メモリー産業を長期にわたり日本に残すという観点では日米連合の方が勝るが、金額面では2兆2000億円を提示するブロードコムが優勢。最終的に日米連合が、どこまで近づけるかが勝負を左右する。

 一方、東芝のメモリー事業の協業先である米ウエスタンデジタル(WD)の動向も見逃せない。WDは東芝メモリの売却差し止めを国際仲裁裁判所に申し立て、自ら買収に乗り出す意向を示す一方、譲歩の動きもみせてきた。

 「東芝メモリ買収において何らかの形で存在感を示したいはず」(ファンド関係者)。強引とみられるやり方で入札を揺さぶってきたWDが、“新日米連合”への主導的な関与を求めてくれば、波乱要因になりかねない。

日刊工業新聞2017年6月15日

後藤 信之

後藤 信之
06月15日
この記事のファシリテーター

 東芝は2期連続の債務超過による上場廃止を避けるため2017年度末までに東芝メモリを売却する意向。そこから逆算すると6月末は売却先決定の限界線で、実際に2日公表の開示資料では28日の定時株主総会までに売却先と正式契約を結ぶとの方向性を示した。
 日米連合は5月19日の2次入札で具体的な買収提案を示す計画だったが、実際には入札への意向表明で留まっており、東芝は日米連合の提案を待つ状態だった。時間的制限を考えれば最初の提案が、日米連合の最後の提案になる可能性がある。他陣営をしのぐ内容を提示できるか一発勝負となる。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。