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トラックが走る日本最大級のジオラマ、その存在意義とは

いすゞプラザ、物流の根幹であることを理解してもらいたい
トラックが走る日本最大級のジオラマ、その存在意義とは

いすゞプラザにあるジオラマ

 いすゞ自動車は「『運ぶ』を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します」を企業理念とする。トラックやバスなど商用車とディーゼルエンジン事業のプロフェッショナルとして社会や環境との調和を目指してきた。

 そうした社会との調和の一環として4月に藤沢工場(神奈川県藤沢市)の隣接地に開設したのが、コミュニティー施設「いすゞプラザ」だ。

 入り口には最初に作ったトラック「ウーズレーCP型」を展示。日常生活に不可欠なトラックやバスが走る日本最大級のジオラマ、最新のトラックやバスも展示し、暮らしに関わるいすゞ自動車の製品を紹介している。入場料は無料。片山正則社長は「トラックは日本の物流の根幹であることを理解してもらうお手伝いをしたい」と語る。

 見学者は、トラック開発や生産の中核拠点である藤沢工場を見学して現場を体感し、その後にプラザを訪れて同社の歴史に触れることも可能。

 プラザ開設は藤沢でモノづくりを続ける意思の表れであり、そのためにもいすゞの取り組みを分かりやすく伝え、地域とのつながりを大切にしたいとの思いがにじむ。

 一方、環境との調和を目指す取り組みとしては、微細な藻である「ユーグレナ(和名=ミドリムシ)」を原料とする次世代バイオディーゼル燃料「DeuSEL(デューゼル)」を開発中。こうした活動を知ってもらおうと、同燃料を使うバスを小学校に持ち込んで出張事業を行う活動をユーグレナと共同で実施している。

 このほか、ディーゼル車と比べ二酸化炭素(CO2)排出量や燃料費を抑えられる液化天然ガス(LNG)を燃料とする大型トラックも開発している。

 片山社長は「最も燃費効率が良く、最もクリーンなディーゼルエンジンを、誰よりも早く、誰よりも経済的に開発し、安定的に供給し続けることが使命」と語る。開発中の新製品の量産実現も社会貢献の一環となりそうだ。
日刊工業新聞2017年6月8日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
創業は1916年。日本の自動車メーカーとして最古の歴史を有する。36年に日本初の空冷式ディーゼルエンジンを完成した。創業以来「妥協のないものづくり」にこだわり、現在は大型トラックやバス、小型トラック、ピックアップトラックを中心とした商用車、自動車や産業用ディーゼルエンジンを提供する。商用車の稼働を支えるアフターサービスの充実や、車両のライフサイクルコストの低減など、ソフト面から顧客を支えるサービスにも力を入れる。 (日刊工業新聞第一産業部・尾内淳憲)

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