トランプ政権の温暖化対策にNOと言えない企業は、市場・顧客から信頼を失う

GEトップのツイート「もはや政府に任せるのではなく、産業界が主導しなければならない」

 トランプ米大統領がパリ協定からの離脱表明をしたことを受けて、米GE(ゼネラル・エレクトリック)のジェフ・イメルトVEO(最高経営責任者)は6月1日、ツイッターで次のように発言しました。

 「パリ協定に関する政権が下した決定には失望した。気候変動は現実に起こっている。もはや政府に任せるのではなく、産業界が主導しなければならない」
“Disappointed with today’s decision on the Paris Agreement. Climate change is real. Industry must now lead and not depend on government.”


 科学的に見ても、地球温暖化(気候変動)は現実の問題です。電力需要は今後も高まっていくでしょう。発電から送配電に至るまで、クリーンエネルギーには引き続き強いニーズがあるGEは確信しています。

 十分な電力を生みながらも、効率を高め、排出ガスを抑制し、エネルギーコストを下げること。クリーンエネルギーへの投資は、環境の観点だけでなく、経済や雇用創出の観点でも重要です。

 現にGEの世界中の顧客企業はこの領域への関心を強めており、いっそうのスピードと行動を求めています。私たちは今後も、顧客企業やパートナー企業、政府関連機関との協力を図り、クリーンエネルギーのためのイノベーション、技術開発そしてビジネスモデルの創出を続けます。

 クリーンエネルギーの実現が必要なのは化石燃料、再生可能エネルギーのいずれもですが、今日のGE REPORTS JAPANでは、いま目を見張るべき進展を見せる再生可能エネルギーの実態をご紹介します。

本格的な再生可能エネルギーの時代はすでに始まった


 十分な電力を得ながらも排出ガスを抑え、そして、エネルギーコストを下げ続けること。気候変動が現実に起こっている以上、これは21世紀における人類最大の課題のひとつです。

 GEが昨年発行したecomaginationレポートでは、世界中で再生可能エネルギー利用や技術が劇的な発展を遂げている事実を調査、報告しました。

 そして今こそイノベーションをさらに加速させ、新たなソリューションを確立し、地球、人類、世界の経済にとって真に持続可能なエネルギー・エコシステムを構築すべきチャンスだと各方面に呼びかけました。

 それからの1年を見ても、再生可能エネルギーは極めて大きな進歩を見せました。特に顕著なものをここに挙げてみましょう。

 ●2016年、風力と太陽光への投資は化石燃料投資の2倍に達した
 
 ●世界の総発電容量は昨年も増え続け、米国では増加分の60%を再生可能エネルギーが占めた

 ●ポルトガルは連続4日間、再生可能エネルギーのみで電力を賄った

 ●ドイツは丸1日、クリーンエネルギーのみで電力需要を満たした
 
 ●デンマークは風力発電によって国内の電力需要を賄うとともに、ノルウェーやドイツ、スウェーデンへ輸出できるほど十分な電力を確保した

 ●英国では風力が石炭の発電量を上回った。年間発電量で風力が石炭を上回るのは英国初となった

 ●2016年は水力発電(のダム)が蓄電ソリューションとして頭角を現し、風力や太陽光による発電エネルギーを水力発電システムに統合する動きも見られるようになった

 ●米国エネルギー省は、2016年に発表したレポートで「米国の水力発電量は2050年までに現在の101GWから150GW程度にまで増加する」と見込んだ
                    

再生可能エネルギー産業の十分すぎるポテンシャル


 世界のイノベーションの努力、各国政府のコミットメントなどによって、再生可能エネルギーは環境成果を発揮するだけでなく、産業としての発展を着実に果たしてきています。

 投資やイノベーションを続ければ、再生可能エネルギーはこれからも有力産業であり続けられるはずです。

 その理由の1つは、多くの国で再生可能エネルギーの発電コストが在来型エネルギーと同等、またはそれ以下になっている事実。たとえば米国では、陸上風力発電はすでに新型の天然ガス火力発電と十分競合できる水準になりました。

 GEの研究パートナーであるJoint Institute of Strategic Energy Analysis(JISEA)は、これまでのペースで投資が進めば2025年までに風力発電のコストは現在より29%、太陽光発電のコストは最大44%も低下すると予測しました。また、世界的に見ると、水力発電は最も高いコスト競争力を持っています。

 もうひとつの理由は、再生可能エネルギー産業は世界の雇用拡大の原動力であること。同産業の従事者数は世界で950万人に達し、年間5%の割合で増加しています。

 つまり、毎年約475,000人もの新規雇用が生み出されている計算に。これらの雇用を実際に生み出してきたのは、米国、中国、ブラジル、インド、日本、ドイツなどの国々です。

 技術革新や各国政府のコミットメントが伴えば、今世紀半ばまでに世界の発電量の3分の1を風力が占めるようになるという見方もあります。

 この予想は「絵に描いた餅」ではなく、イノベーションのペースが続くと仮定した場合の、実現可能な範囲を示しています。GEグローバル・リサーチ・センターの科学者たちは、風力発電のコストを3セント(約3.34円)/kWhまで引き下げる技術の開発に成功しました。こうした技術イノベーションは、市場拡大に拍車をかけてくれます。

 風力や太陽光に限らず、水力発電においても、イノベーションによって世界中の発電施設の効率性が高まる可能性が十分に見込めます。

 たとえば、GEのデジタル・ハイドロ・プラントは水力発電のソフトウェアとハードウェアをGEならではの方法でユニークに組み合わせたもので、データ解析に基づいて、水力発電用タービン、施設、機器のパフォーマンスを正確に把握し、コスト管理や発電量コントロールに役立てることができます。

 環境課題の解決のためだけでなく、再生可能エネルギー産業は新たな経済や雇用拡大のための可能性を秘めるものだということを忘れてはなりません。

 風力と太陽光、水力を組み合わせることで、従来のエネルギーモデルを根底から変えることも可能であり、今までにない、新たなビジネス機会が生まれています。

 100年ほど前、科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』の誌上広告で、GEは人間が太陽、風、海を巧みに利用して電力を生める世界を描きました。

 こうしたビジョンは今まさに現実のものとなろうとしているのです。GEはこれからも、世界中の企業や政府機関と協力し、真に持続可能なエネルギー・エコシステムの構築に努力を続けていきます。


GE Reports Japan

松木 喬

松木 喬
06月07日
この記事のファシリテーター

九州で16年5月、一時的ですが再生エネ比率78%でした。今年5月、四国でも再生エネ比率6割を記録しました。ただ、安くはありません。それが世界に目を向けると再生エネがもっとも安い電力になった地域もあります。パリ協定離脱表明に対し、米国企業が一斉に反対の意思を示しました。トランプ政権の温暖化対策にNOと言えない企業は、市場・顧客から信頼を失うという状況が一瞬にしてできました。そして再生エネを安く調達できる企業は経済性・環境性で投資家・顧客・市場から支持されます。日本企業はどうでしょうか。

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