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病院は評判が第一?今どきの患者さんは“口コミ”に敏感

 最近はランキングが大はやりです。病院ランキングもそれに漏れません。雑誌も毎年出ていますし、便乗して病院の診療科の宣伝を勧めて、さらに収入を増やそうとする雑誌もあります。

 最近、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の岩崎夏海氏の講演を聞く機会がありました。

 その中で、駅前のラーメン屋はどんなにまずくても昔は閉店しなかったが、インターネットで沿線のどのラーメン屋がおいしいかまずいかという情報が流れるようになってから、客が少し遠くてもおいしい店を選ぶようになり、まずい店は閉店してしまった、という話を聞きました。

 しかし、病院選びでは必ずしもインターネットの影響がストレートに出る訳ではないようです。もちろん救急では直近の病院に搬送されるし、症状が重篤であれば、救命救急センターに運ばれます。がんの時には、先ほどのランキングも参考にするかもしれません。

 少々古いですが2009年1月18日のビジネス誌の記事によれば、患者さんが選ぶ基準の第1位は近くにあることで37・2%。第2位は病院の評判で15・1%、第3位は医療スタッフの実力で13・1%でした。

 普段、少し調子が悪い時には、近くて評判の良い病院があればそこに行くというのが患者さんの実際の動き方のようです。実際にかかった知人からの評判は本当に大切です。

 評判ということではタクシーの運転手さんもそうした評判にはかなり敏感な職種ではないでしょうか。2年程前ですが、池袋からタクシーに乗った時、少し疲れていたので行き先を告げた後はこちらからは話をしませんでしたが、向こうから話を始めました。

 「実は僕も豊島病院にかかっていて、しっかり診てもらってます。でも、この間救急外来が混雑して、座るところがなくて、ちょっともめました。でも、すぐ横には座るところは十分あったんです。職員の人がそこに気がついて誘導すればあんなにもめなかったと思います…」。思わず知らずこちらの背筋が伸びてきました。「おっしゃる通りですね。今後気を付けますから」。

 当院のことを職員と同じように考えてくれる患者さんがいることを大変うれしく思いました。当院のサポーターになってくれているとすればありがたいことで、タクシー利用者にも当院を勧めてくれるのではないかと内心期待してしまいました。

 病院で車を降りた後、そのタクシーが走り去るまで、私は思わずしばらく頭を下げていました。
(文=公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院 院長 山口武兼)

週刊誌のランキングじゃない真面目な病院評価に注目を!


 週刊誌などによく、治療ベストテンとか専門医ランキングとかいう記事が載っています。信頼できる記事もあれば、いい加減な取材でお茶を濁している記事もあります。

 日本で唯一と言ってよい真面目な病院機能評価機関として、日本医療機能評価機構(略して評価機構またはJQ)があります。難しそうな名前ですし、聞いたことないですよね。

 1995年7月に創立され、22年の歴史があり、その間真面目に、全国の病院の機能を評価し、医療の質向上に貢献してきました。

 日本の病院で今当たり前になっている医療安全、感染管理、診療録開示、患者サービスの向上などが大きく進んだのは、病院機能評価によるところが大きいと思われます。
<評価機構は何をやっているのか?>
日刊工業新聞2017年6月2日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ただでさえ体調に不安を抱えているので、病院の評判や状況が少しでも分かれば安心できるというもの。しかし広告がからんでくると公正な判断とは言いにくくなってきます。

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