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米ブロードコム、東芝メモリ買収で4兆円超を準備

「資金力」で交渉有利に進める狙いも、日米連合有利か
 東芝がメモリー事業を分社した「東芝メモリ」の売却で、米ブロードコムが買収後の設備投資などを含め4兆円を超える資金を準備していることが分かった。買収額としての提示額は2兆円程度で、上乗せも計画している。金融機関から約1兆5000億円の融資枠を確保したほか、米ファンドのシルバーレイク・パートナーズなどから買収後の投資資金として数千億円を調達する。ブロードコムは豊富な資金力をテコに、存在感をアピールする考え。

 ブロードコムは、東芝のメモリー事業の買収額を3兆円程度まで上乗せできるもよう。また「買収後に年間4000億円の設備投資を継続できる資金を確保している」(関係筋)という。

 ブロードコムは東芝の四日市工場(三重県四日市市)に重点投資することが、韓国サムスン電子など競合他社に打ち勝つために有効との考えを示している。雇用や技術の国内確保を重視する東芝や経済産業省に配慮を示し、交渉を有利に進める狙いがあるようだ。

 ただ東芝メモリの売却では、キープレーヤーと目される政府系ファンド・産業革新機構が中心の日米連合が、30日にも買収案を提示する見込み。連合には米アップルが参加する可能性もある。売却を巡り意見が対立するウエスタンデジタル(WD)との和解の兆しもみえてきており、日米連合が有利に交渉を進める可能性が出てきている。
日刊工業新聞2017年5月29日の記事に加筆・修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
一時はブロードコムで決まりかと思っていましたが、ここにきて政治色が強くなり金額だけではなくなってきています。

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