「YS11」も担当していた三菱重工の協力会社。次はエンジン部品で参入狙う

熱田起業、高性能な工作機械を導入し加工精度を向上

 名古屋港に注ぐ中川運河沿いに、三菱重工業の古くからの協力会社がある。熱田起業(名古屋市中川区、矢野照明社長)だ。1954年に創業し、戦後初の国産旅客機「YS11」の部品も製造していた。

 三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所(名古屋市港区)との取引が長い。航空機、ロケットの中・小型部品を手がけ、機体部品を中心におよそ2000種類を製造する。

 ただ機体部品の加工は将来、海外勢とのコスト競争が激しくなるとの危機感もある。そこで熱田起業は今、エンジン部品への参入を目指している。

 エンジン部品は高い耐久性が求められる。インコネルなどの金属を用いるが、材質上加工が難しい。付加価値が高い仕事だが、参入が難しい。

 それでも矢野社長は「(エンジン部品は)日本の航空機産業で最も競争力がある分野で、国内に仕事が残る」と参入に強い思いを抱く。

 受注を目指す相手は三菱重工の航空機・ロケットエンジンを手がける名古屋誘導推進システム製作所(愛知県小牧市)。2018年前半と、目標時期も定めている。

 三菱重工の航空機エンジン部門出身のコンサルタントに指導を仰ぎ準備を進めた。参入への腕試しとして、中部経済産業局などが16年に実施したエンジン部品の試作加工コンテストに参加。2部門のうち難易度の高い方に応募したところ、1位の評価を得た。

 加工したのはエンジンの燃焼器の一部。三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市)などが審査し外観上、問題はないとの評価だった。ただ完璧ではなかった。

 内部に若干の歪(ひず)みがあると指摘された。改善に向け、高性能な工作機械を導入し、加工精度を向上させる。

 並行して品質保証体制の構築にも着手した。部品の輪郭形状や表面の粗さがわかる3次元測定機を16年末に導入した。高い信頼性を確保し、参入を実現させる。
(文=名古屋・戸村智幸)

日刊工業新聞2017年5月29日

日刊工業新聞 記者

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05月29日
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1年に本社を現在の場所に移転し、2カ所の工場を集約した。社内の情報共有が進み、効率的な生産体制を実現した。工場では勤続50年以上の社員が6人いるなど、ベテランが活躍する。工作機械の操作のプログラミングに、職人技が生きる。矢野社長は「培ったノウハウを生かし、頭の中で加工の順番を決めている」と説明する。
(日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸)

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