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【今週のリケジョ小町】世界中にユーザーがいるタイヤの解析

住友ゴム工業株式会社 佐野 江美さん
**乗用車用タイヤの解析
乗用車用タイヤの振動やノイズの解析を担当する住友ゴム工業の佐野江美さん(29)は、今年で入社6年目。開発段階のタイヤや、問題が発生し解析を依頼された製品などあらゆる事象に対応する。世界中にユーザーがいるため、英語でのやりとりや日本では考えられない故障要因に出合うことも。それでも「依頼者がどうしたいのか」を的確にとらえ、最適な解析手順を考える。女性が少ない部署だが「家庭と仕事を両立し後輩女性社員の働き方に良い影響を与えられたら」と将来を見据える。

依頼の背景を捉える


大阪大学大学院基礎工学研究科でDNA(デオキシリボ核酸)関係の研究をしたので化学メーカーへの就職を希望しました。研究を通して学んだ『分からないことを突き詰め、失敗から解決策を見いだす姿勢』は仕事に大変役立っています」

「仕事では常に『依頼者がなぜ依頼したのか』、その背景や目的、条件を聞いた上で実験・解析に取りかかります。それをきちんと捉えないと、1―2カ月要するプログラムが無駄になってしまうから」

「依頼者である自動車メーカーなどが海外企業の場合は英文メールでやりとりをします。実験や解析も、チームや他部署との連携が必須なので情報の共有をこまめに行います。感覚の違いや情報の取りこぼしがないよう、できる限り顔を合わせています」

自分が関わった製品世界へ


「世界では悪条件の気温・湿度下でタイヤが使われているため、日本では考えられない問題が起こることも。そんな課題に悪戦苦闘する日々ですが、自分が関わった製品が世界中で使われていることにやりがいを感じています。職場にはまだ女性は少ないですが『女性が働くこと』に関して周囲の理解があり、今後も家庭と仕事を無理なく両立できたらと考えています」

「趣味は旅行。長期休暇にハワイやポルトガルを訪れました。旅行プランは組まずにゆっくりその国の文化や雰囲気を楽しむのが好きなんです」
 

(写真=大阪・清家 史彦、文=神戸・大原 佑美子)
日刊工業新聞2017年5月29日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
日本では想像できないような過酷な条件で使用されるタイヤもあるのでしょう。タイヤとだけ向き合うのではなく、人とのコミュニケーションもポイントのようです。

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