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55歳以上のSE、富士通が活躍の選択肢広げる

55歳以上のSE、富士通が活躍の選択肢広げる

職場は違っても同世代で奮闘してきたシニアSEが集まって今後の方針を協議

 富士通は役職が外れた55歳以上のシステム技術者(SE)の活躍の場を拡大する。10月をめどに、シニアSE人材の活用を中核とする子会社3社を合併し、職種の選択肢やIターン・Uターンなど勤務先の選択肢を広げる。2017年度からサービス技術者などSE以外にも人材枠を順次拡大する。人手不足が続くIT業界の労働力の減少対策と働き方改革に向けて、シニア活用を促進する。

 富士通クオリティ&ウィズダム(FJQW、東京都大田区)に地域系2社で東日本担当の富士通システムズウェブテクノロジー(東京都港区)と、西日本担当の富士通インフォテックサービス(大阪市中央区)を統合する。両社は富士通が統合した東西のシステム構築(SI)会社の傘下で、主にシニアSE活用の受け皿となっていた。

 FJQWの社員数は246人。富士通での役職離任に伴い、社員数が毎年30人強増える。統合する2社も同様の仕組みとなっており、現在、シニアのみで計170人程度。10月には3社合わせて総勢410人体制となる。高齢で定期的に引退する人を差し引き、数年で500―600人体制を想定する。

 富士通ではSEなどのIT人材は役職離任となった時点で、FJQWに出向するか、移籍して新たな役割を得るかを選択できる。出向する場合は管理職から外れて、富士通の既存の職場で働く。

 FJQWに移籍する場合は、後進の育成や自己の専門性を発揮できる業務を担う。SIプロジェクトなどの品質管理や後進の育成、職場支援が中心となる。7月には若手SEに対するメンター(助言者)制度を始め、若手育成の業務を充実させる。

 働き方改革の観点からも新しい取り組みを始める。Uターンで地元に戻り地方創生に協力したり、数人がチームとなってクラウドソーシングの手法で一つの仕事をこなしたりする仕組みなどを検討している。本人に意欲があれば多様な雇用形態で働き続けられるシニア活躍のモデルづくりを目指す。
日刊工業新聞2017年5月24日
櫻井八重
櫻井八重 Sakurai Yae
総務省が実施している国勢調査によると、日本の人口構成において65歳以上人の割合は26.7%。2055年には約2人に1人が60才以上となる時代がやってくる。2030年には私達バブル世代も60歳代となり、全体の1/3をシニアが占めると聞くと他人事では無い。シニアの活用が叫ばれ多くの取り組みや議論がなされているが、深刻な人手不足を背景にこういった企業内での取り組みは今後益々増えていくであろう。

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