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シャープがスマホ向けサプライチェーン強化に動く

カメラモジュールメーカーを子会社化
シャープがスマホ向けサプライチェーン強化に動く

シャープの戴正呉社長

 シャープは6月30日付でベトナムのカメラモジュール製造協力会社を子会社化する。シャープが40%出資するシャープタカヤの100%子会社「サイゴンエステック」(ビンズオン省)の株式の51%を約3億5400万円で取得する。親会社の台湾・鴻海精密工業との垂直統合効果が見込めるスマートフォンやタブレット端末向けカメラモジュール事業の強化を進める。

東芝メモリへの関与にも意欲


 シャープは、東芝メモリの入札への関与を検討していることを明らかにした。同社首脳は「IoT(モノのインターネット)時代に半導体メモリーの需要は伸びてくるので、良い投資になる」と前向きな考えを示したが、一番の狙いは親会社の台湾・鴻海精密工業を支援することだ。

 鴻海は東芝メモリの入札に参加したが、日本政府は技術流出や安全保障問題を理由に、中国企業や中国と密接な台湾企業による買収に懸念を示している。そこで鴻海は米アップルやソフトバンクとの連携を模索。さらに日本に根を張るシャープを加え、日系連合の色合いを深め、政府関係者らの警戒心を和らげたい考えだ。
日刊工業新聞2017年5月19日/4月20日付の記事を編集
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
シャープがカメラモジュールメーカーを子会社化する一方で、ソニーは同事業から撤退した。もちろんシャープはスマホでの垂直統合強化、ソニーは稼げる分野への集中投資という両社の戦略の違いはあるが、資金力があればこれだけやれることも違うのだな、という率直な印象を持つ。シャープが鴻海傘下に入ってからの打つ手の速さもやはり印象的で、日本企業にはグローバル市場で生き抜くためにも、さらなる経営判断の加速を期待したい所。

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