東芝「上場維持」へ3つの壁

 監査法人の承認を得ない暫定値として、17年3月期連結決算概要(米国会計基準)を発表した東芝。元子会社で原子力発電企業の米ウエスチングハウス(WH)の破産処理などで当期損益は9500億円の赤字となり、5400億円の債務超過になる見込みだ。

 すでに16年4―12月期に債務超過に陥っており、8月には東京証券取引所1部から2部に降格する見込み。18年3月期業績予想は当期利益が500億円と黒字転換の計画だが、5400億円の債務超過が続く見通しだ。

 そこで事業評価額2兆円ともされる半導体メモリー事業を売却し、財務基盤の回復を図る。ただ売却手続きが滞り18年3月期に債務超過を回避できなければ上場廃止となる。

 上場維持が困難な状況は依然として変わらない。特設注意市場銘柄の解除不可、有価証券報告書(有報)の提出の遅延、そして1年以内の債務超過の解消。上場を維持するための三つの壁はいずれも、解決には至っていないからだ。

 直近の焦点は2017年3月期の有報について、PwCあらた監査法人の監査意見を付けた上で期限の6月末までに金融庁へ提出できるかにある。仮に期限延長が認められない場合は、7月末までに有報を提出できなければ、即時上場廃止となる。

 監査をめぐっては米原発事業の損失リスクの認識時期をめぐり、東芝とPwCあらたの協議が難航しており、一時期は監査法人の交代も検討したほどだ。残り1カ月半の間で、平行線をたどる両社の協議がどこまで進展できるかがポイントとなる。

 こうした状況に対して監査業界の関係者からは「現実的には、どこかで両社が納得できる形で折り合いをつけるしかないのでは」との声も聞かれる。

 東芝の迷走は同社に融資する銀行の業績にも影響している。各行は取引先の格付けである「債務者区分」について、東芝の債務者区分を「正常先」から「要注意先」に引き下げたもよう。

 区分に応じ貸倒引当金を計上する必要があり、区分が悪化すれば損失が膨らむが、今のところ軽微にとどまりそうだ。

日刊工業新聞2017年5月16日「深層断面」から抜粋

池田 勝敏

池田 勝敏
05月17日
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 メガバンクの姿勢は変わっていない。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長、三井住友フィナンシャルグループの國部毅社長は15日の決算会見でそろって東芝を「日本にとって重要な会社」と評価し支援継続を表明。三井住友トラスト・ホールディングスの大久保哲夫社長も「メーン2行と連携しサポートする」と語った。
 ただ上場廃止となれば債務者区分や信用格付けが下がり、与信費用負担が跳ね上がる可能性がある。ウエスタンデジタルの国際仲裁裁判所への申し立てや東京証券取引所の特設注意市場銘柄など問題がくすぶり、予断を許さない状況だ。
 みずほFGの佐藤社長は、ウエスタンデジタルが仲裁申立書を提出したことに関連し、「合弁会社の解釈について見解の相違があったのはご存じの通り。お互いにとって早期の解決が必要だ」と話した。一方で、東芝が公表した決算に監査の意見がつかなかったことは「これをもって融資のスタンスを変えるものではない」としている。

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