アマゾンや楽天の背中追うヤフー、武器は「他サービスのデータ」

データ使い最適商品紹介の精度高める

 ヤフーは電子商取引(EC)サイト「Yahoo!ショッピング」の流通総額の拡大に向けて一段と攻勢をかけている。2013年に出店料などを無料化し、この3年で売り手を6・5倍に拡大。その上で親会社であるソフトバンクの顧客基盤と連携し、買い手を増やし始めた。ただ「アマゾン」や「楽天」の背中は遠い。そこで検索など多様なサービスを基にしたデータ活用により、最適な商品を紹介する精度を高め、逆転を狙う。

 「新規の顧客が大いに増えている」―。ヤフーの小澤隆生執行役員は2―3月の「ショッピング」の動向に手応えを感じている。その背景にはポイント戦略がある。ソフトバンクのスマートフォン利用者を対象に「ショッピング」の購入金額に応じて得られるポイントを10倍に増やす施策を2月に始め、効果を出し始めた。「ショッピング」の16年度の流通総額は4788億円。総合ECサイトで3番手だ。前を行く「アマゾン」や「楽天市場」は年間1兆円をはるかに超えているとみられ、2社との競争は「周回遅れ」(小澤執行役員)の状況。取り扱う商品や価格に大きな差がなければ、利用者は使い慣れたサイトを利用する。後を追うサイトがそうした利用者を自社サイトに呼び込むのは至難の業だ。

 そこでヤフーは特定の分厚い顧客層に対し、強いお得感を訴求する施策を打った。それが「ソフトバンク契約者はポイント10倍」というキャンペーンだ。宣伝活動にはソフトバンクショップも活用し「ショッピング」の利用者を増やした。こうした効果を拡大するため、5月が期限だったポイント10倍キャンペーンは6月以降も継続を決めた。

 一方でグループの顧客に訴求するだけでは上位2社を追い越すことはできない。そこで、ヤフーはデータ活用に勝機を見いだしている。小澤執行役員は「(データを基に利用者の趣味・嗜好(しこう)に適した商品を紹介する)パーソナライズ化でECサイトの質は変わる。パーソナライズ化されていない状態の順位は、まだまだ変えられる」と強調する。データ活用により、欲しい商品がすぐに見つかり、他社よりも消費者が使いたくなるサイトの運営を目指す。

 もちろんパーソナライズ化は他社も重視している。それでもヤフーは、パーソナライズ化の精度の肝になるデータ量などについては、他社と比べて優位と自負する。ヤフーは100件以上のサービスを提供しており、ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」は月間約6000万人が利用する。このためヤフーの宮坂学社長は「データの多様性と量、鮮度で優れている」と力を込める。

 ヤフーの小澤執行役員は「(パーソナライズ化による)使い勝手の差は、ここ1―2年で一定程度出てくる」と推測する。今後、パーソナライズ化が流通総額を左右する大きな競争軸になるのか。ヤフーが持つ総合力の真価が問われる。
 

(文=葭本隆太)

日刊工業新聞2017年5月16日

昆 梓紗

昆 梓紗
05月16日
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たしかにヤフーは検索やニュースなどアマゾンや楽天が持っていないサービスに強みを発揮しています。しかし「無料が当たり前」のサービスを利用しているユーザーを、有料のその他のサービスへスライドさせるのは難しい部分もありそうです。

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