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アルツハイマー治療に道。アミロイド線維を人工作製

奈良先端大が成功、次世代の微細材料の開発への応用も
 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の杉山輝樹客員教授らは、アルツハイマー型認知症などの発症の要因となるたんぱく質の繊維状の凝集体「アミロイド線維」を人工的に作製することに成功した。アミロイド線維の生成メカニズムの解明につながり、関連疾患の治療や予防法の開発が進むと期待される。同時に強固な構造を利用した次世代の微細材料の開発への応用も可能だという。

 研究グループは光が物質に当たると生じる圧力(光圧)を使い、たんぱく質の一種「シトクロムc」を溶液中で局所的に集めた。

 これを材料に、球状のアミロイド線維の凝集体を特定の場所に作製することに成功。光を操作することで球状のアミロイド線維の凝集体を連続的に作製し、自在に配列することもできる。

 一方、アミロイド線維は、固体と液体の両方の性質を示す「液晶」の性質を持つことが知られ、超微細技術の次世代素材として注目されている。

 既に原子顕微鏡のチップなどで使用しているが、今回開発した技術で基板上へ連続的に配列するなどして用途拡大が期待できる。
アミロイド線維の凝集する様子(奈良先端大提供)
日刊工業新聞2017年5月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今後さらに多くの種類のたんぱく質で開発手法が有効か確認を進めていくそうです。

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