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規制監督と産業振興、フィンテックは縦割り行政を乗り越えられるか

 経済産業省は8日、フィンテック(金融とITの融合)に関する提言書「フィンテックビジョン」を公表した。フィンテックの可能性や課題のほか、今後の取り組みの方向性などを記載した。

 政府が近く発表する「日本再興戦略2017」のフィンテック関連政策に反映させる。提言書では三つの政策指標として、非現金決済比率、サプライチェーンの資金循環速度、財務・会計関連業務のクラウド化比率を設定。これらを改善し、消費活性化、企業の競争力強化などにつなげる戦略だ。このほか、従来規制が想定していなかったサービスの試験的実施を認める「サンドボックス」枠組みの創設に向け、四つの基本原則も記した。

 日本は欧米などと比べフィンテックへの対応で遅れているとされ、政府は関連政策の拡充を急いでいる。
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
縦割り行政で省庁間に落ちてしまうものの一つが金融産業の振興と東京国際金融センターの競争力強化だ。金融庁は規制監督官庁、経済産業省は金融を除く産業振興であるとしたら、先の2つの課題は東京都が推進母体となって進めるしかない。その際にはフィンテックなど金融VBの推進、VCとPEの育成については経済産業省と、また、規制緩和や監督については金融庁と、そして税務については財務省と協議を重ねていきたい。東京都の「国際金融都市・東京懇談会」の中間答申は来月公表される予定だ。

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